4Gなど携帯加入状況が好調、国内市場の価格競争激化には否定的

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00728 中国電信 (チャイナ・テレコム)  3.91 HKD
(10/03現在)
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BOCIの報告によると、チャイナ・テレコム経営陣は北京で開かれた「リバース・ロードショー」(通常とは逆に、投資を望む側が株や債券などの発行体に出向く活動)の場で、携帯電話加入純増数、4G加入純増数に関する通期目標の達成に自信を示すと同時に、国内通信市場が理性的な競争環境を維持する見通しを示した。ブロードバンド事業においては、同社は引き続き、インターネット・データセンター(IDC)の独占的事業者であり、売り上げシェアは37%(キャリア3社間では59%)。この先、貴州省、内モンゴル自治区の施設完成に伴い、IDC容量は倍増する見通しという。BOCIは同社の目標株価を据え置き、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

まず同社のモバイル事業を見ると、契約獲得状況は年初から好調で、携帯電話全体の加入純増数は2016年1-8月に1260万件(通期目標1300-1500万件)。うち3Gからの乗り換えが中心となる4Gの純増数は、全体の純増数を上回る4300万件(同6000万件)であり、経営陣は2つの目標の達成を確信している。これまでの好調に寄与したのは、4Gサービスエリアの拡大やスマートフォン機種の充実、ブロードバンドやIPTVとのセット販売戦略、実店舗・直販・ネット販売を含む販路の整備――など。3G加入者が4Gにアップグレードした場合、通常、加入者1人当たりの月間データトラフィック(DOU)は倍増し、月額収入(ARPU)は15-30%増加するという。

中国通信市場では、3大キャリアのうちチャイナ・ユニコム(00762)が一部地域でデータ使い放題プランを導入。その後、チャイナ・モバイル(00941)も追随した。チャイナ・テレコムは今のところ、こうした動きと距離を置き、競合2社のプロモーションによる影響を見極めようとしている。同社経営陣は競争が厳しい一部エリアで追随する可能性を示唆しながらも、全国規模で実施する可能性を否定。キャリア3社ともに理性的な競争環境を望んでいるとし、この先の価格競争の激化に関しては否定的な見解を明らかにした。また、実際に価格競争が激化した場合、モバイル事業への依存度が高いチャイナ・モバイルにとって、最も打撃が大きいと指摘している。

一方、設備投資は15年をピークに、16年の設備投資計画は前年比11%減。17年にはさらに縮小する見通し。今後の主要投資対象は4Gの800MHz帯のアップグレードや「2+5」戦略下で展開する新たな成長ビジネス。次世代5Gに関しては18年以降に通信規格が固まるとみて、5G向け設備投資の開始が19-20年となる見通しを示した。「2+5」とは4Gおよびファイバー・ブロードバンドという収益の2本柱に加え、5つの新規事業を利益源とする同社戦略。5つの新規事業は、以下の4つのエコシステムに焦点を合わせたものとなる。◇スマートファミリー(「天翼」ブランドのIPTV事業)◇ICT(クラウドとビッグデータ)◇IoT(モノのインターネット)◇ネット決済――。