個人投資家の資産運用のステージには、4つあると考えています。この中で、最上位の第4ステージはバリュー投資の世界、「割安で買い、割高で売却し、割安なものがなければ現金に置いておく」という世界です。(ここで言うバリュー投資は、割安だけではなく成長も含めた広義に解釈しています。)

私の経験も含めて見ると、第4ステージにいる多くの人は、株式投資を通じてバリュー投資に出会い、ウォーレン・バフェット氏、ピーター・リンチ氏等に関連する本を読み、会社四季報、決算短信を読み込み、企業分析をひたすら行って投資経験を積んでいった結果、このステージに到達したと見ています。

ここにいる人たちは株価ではなく事業を見ているので、株価が下がった時に「怖い」ではなく「安い」と思える心になっている、だから割安で買うことが出来、資産を殖やすことが出来ているのです。

ただ、誰もが出来る世界ではなく、割安を見極める能力と一喜一憂しない心が求められる、とてもハードルが高い世界です。

バフェット氏は自身の遺言で次のように管財人に指示しています。「現金の10%を米国短期国債に、90%を低コストのS&P500インデックスファンドに投資をしなさい。」

この意図がお分かりでしょうか。S&P500は米国株の指数ですが、私は次のように捉えています。「第4ステージ(バリュー投資)でうまく運用しようとしても、一喜一憂してうまくいかずに第2ステージ(短期・利益追求)に行ってしまうので、先を読まず、タイミングも計らず、第3ステージ(国際分散投資)にいなさい」ということです。そのくらい第4ステージは難しいのです。

誰もあなたを一喜一憂させようとはしていない

マーケットは決してあなたを一喜一憂させようとはしていません。トランプ米大統領もイギリスのEU離脱も、ギリシャも日銀も、誰もあなたの資産を減らして怖がらせようとは思っていません。怖さはあなたの心の側にあります。あなた側の問題なのです。

第4ステージに居続けるためには、バリュー投資をしていればよいというだけではなく、重要なのは自らの一喜一憂のほうに目を向けることです。一喜一憂に支配されている限り、どのような運用をしようがうまくいかない状態は変わりません。

「一喜一憂を克服していく」とは、自らが一喜一憂していないかに目を向け、していると気付いたら、それに支配されずに横に置き続けていくことです。これを続けることによって、あなたの深刻さ、大変さは軽くなってきます。最終的には一喜一憂しても「まだ出てきたな」くらいのもので、大したことではないと思えるようになるでしょう。

バリュー投資へのアプローチ

ここで、バリュー投資へのアプローチの仕方をお伝えしましょう。

バリュー投資をする方法は2つです。自らがバリュー投資の職人になるか、職人を頼るかです。

自らが職人になりたいのであれば、ウォーレン・バフェット氏、ピーター・リンチ氏、ジム・ロジャーズ氏等、バリュー投資に関連する本を読み、実践していくことをお勧めします。

職人を頼りたい人は、ご参考として、ポートフォリアの「みのりの投信」、レオス・キャピタルワークスの「ひふみプラス」「ひふみ投信」、コモンズ投信の「コモンズ30ファンド」「ザ・2020ビジョン」、セゾン投信の「セゾン資産形成の達人ファンド」の運用哲学がどういうものか、なぜそのように考えるのかをよく理解されることをお勧めします。

バリュー投資にスタンスを置いている人のセミナー等で話を聞くのも良いでしょう。

私たちの目指す運用を妨害する最大の要因は、私たちの心の中にある“一喜一憂”です。一喜一憂を克服していくことで、誰かのせい、何かのせいにすることなく、心が平安な状態で運用していくことができるようになるでしょう。その時にはあなたは人生においてもきっと、一喜一憂しない、心の平安のある豊かな人生を手に入れることができているでしょう。

さあ、これからです。

一喜一憂と向き合っていきましょう!