4Gデータ利用の拡大で16年上期利益が予想から上振れ、下期も堅調持続へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00941 中国移動(香港) (チャイナ・モバイル)  96.70 HKD
(08/12現在)
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2016年6月中間期の純利益は前年同期比5.6%増の606億元に上り、コンセンサス予想(588億元)、BOCI予想(593億元)を上回った。4-6月期のサービス収入が同8.8%増の1630億元と、力強い伸びを示したことが利益上振れの主因。端末データ利用の134%増を背景に、ARPU(加入者1人当たり月間収入)も上昇トレンドを維持し、4-6月期に3.1%増の67.3元に達した。1-6月の4G加入純増数は1億1600万件。DOU(加入者1人当たりデータ通信量)は2G、3Gを含む全体で1カ月当たり平均589MBと、前年同期の278MBから急増した。BOCIは4G加入者(4GのDOUは平均928MB)の割合が51%にとどまる点に触れ、この先の成長余力を指摘。下期もデータ業務が売上成長をけん引するとみている。また、慎重な設備投資姿勢やこの先の増配が再評価につながる可能性を指摘し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

上期の設備投資は830億元で、うち50%が4G関連。4G基地局設置目標(140万カ所)達成に向け、下期に必要な新設数は8万カ所にとどまるが、経営陣は通期の設備投資予算を1862億元に据え置いた。下期には基地局よりファイバーおよびトランスミッションネットワークが設備投資の中心となる見通し。経営陣はモバイル/固定通信の双方ともにデータ利用の急増に備える必要があるとみて、この分野の投資を重視している。

経営陣は16年下期の事業環境に関してやや慎重。競合2社、チャイナ・テレコム(00728)、チャイナ・ユニコム(00762)との競争激化が見込まれるためで、販売・マーケティング費の増大が予想されるという。ただ、前年10-12月期の利益実績の低さなどから、16年通期では上期並みの利益成長率を維持できるとの見方。BOCIも下期利益を楽観し、経営陣が示したガイドライン以上の増益率を達成する可能性を指摘している。

中間配当は1株当たり1.489HKドル。元安の影響もあって前年同期の1.525HKドルを下回ったが、配当性向は43%を維持した。ただ、経営陣は自社の収益成長と株主利益のバランスを取る必要があるとの認識。BOCIは配当性向のさらなる引き上げが同社株価の支援材料となる可能性を指摘している。

一方、通信キャリア3社が鉄塔資産の共有を目的に合弁設立した中国鉄塔股フン有限公司(鉄塔公司)は、16年上期に2億3000万元の営業損失を計上した。ただ、BOCIは同公司がキャリア3社と交わした設備リース契約、メンテナンス契約を考慮し、今後の大幅な業績改善を予想。結果的に、鉄塔公司の株式38%を持つチャイナ・モバイルの利益上乗せ(関連会社利益の扱い)につながるとみている。

BOCIはマーケティング費の増大見通しから、17年、18年の予想純利益を6.3%、5.5%減額修正し、目標株価を引き下げた。ただ、16年通期の業績を楽観。同社株価の先行きに対して強気見通しを据え置いている。