8月4日
政策支援とUHV送電網の敷設が2大支援材料、設備稼働状況が改善へ
BOCIによると、中国では「第13次5カ年計画」(16-20年)期間に、石炭火力発電から再生可能エネルギー発電へのシフトが鮮明になる可能性が高い。移行期においては電力消費の低迷が逆風となるものの、国家エネルギー局は再生エネルギーの供給制限問題(設備過剰や送電インフラの不備を受けた稼働制限)の解消に向け、16年上期に一連の支援措置を発表済みだ。香港株式市場では2月以来、風力発電銘柄が値上がりしているが、BOCIは利益見通しの改善をその理由としながらも、政策支援やUHV(超高圧)送電網の敷設を受けた向こう2年間の稼働状況の回復見通しが、今も株価に反映されていないとの見方。個別では、北西部の発電容量の割合が大きく、UHV網敷設計画の恩恵を受けやすい龍源電力集団(00916)に関して15-18年に年平均29%の利益成長を見込み、同社を風力セクターのトップピックとしている。
国家エネルギー局は今5カ年期間の供給制限問題の解消に向けて一連の措置を発表したが、中でも重要なのが稼働時間数の下限を設定した上での全額買い取り保証。BOCIは16年下期も引き続き、同局や地方当局の政策支援が風力発電銘柄に対する投資心理の向上に寄与するとの見方だ。まずは7-9月期に予想される再生エネルギー補助金の第6回目録の発表が、短期的な支援材料となる見通しを示している。
BOCIによると、全額買い取り保証が仮に全面的に履行された場合、風力部門の発電制限率は4%まで低下し、状況が大きく改善する見込み。龍源電力集団、華能新能源(00958)、中国大唐集団新能源(01798)の純利益は20-48%上向く見通しという(16年ベース)。実際には完全な履行は難しいものの、各地方政府とも引き続き、再生エネルギーセクターに有利な政策スタンスを維持する可能性が高い。
一方、待望のUHV送電網の敷設は16-18年に、風力発電セクターの大きな追い風となる見込み。国家発展改革委員会は14年以降、UHV送電網11本の敷設を認可したが、うち8本は風力発電基地をカバーする路線。BOCIはこの8本の送電量が283TWh(テラワット時)に上ると予想し、15年の総送電量の32%に相当するとみている。仮に実際の稼働率が送電能力上限の50-75%にとどまったとしても、全額買い取り保証に対応できるだけの余力があるという。
これまでは風力発電施設と送電網の建設時期のミスマッチが供給制限問題を引き起こしてきたが、UHV網の建設が問題の解消を後押しする見込み。国家エネルギー局の目標を達成する上で、次に課題となるのは再生エネルギーへのシフトに伴う既存発電施設の削減であり、地方政府にとってはかなりの難題となる可能性が高い。ただ、UHV網の敷設が地方政府に恩恵をもたらし、地方、送電事業者、国家エネルギー局の3者にプラスとなる見込み。BOCIは結果的に風力セクターに対する恩恵につながるとみている。
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