16年5月中間決算は予想上振れ、新契約好調で本土系ビッグ4を上回る評価

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01299 友邦保険控股 (AIAグループ)  49.05 HKD
(07/29現在)
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AIAグループの2016年5月中間決算(16年度上期)は市場コンセンサス予想を上回る水準に達した。香港と中国本土での好調を背景に、新契約価値(VONB)は実質為替レート(AER)ベースで前年同期比31%増、恒常為替レート(CER)ベースで同37%増となる12億6000万米ドルを記録。新契約年換算保険料(ANP)は同25.4%の伸びを示した。また、企業価値を図る指標EV(エンベディッドバリュー)は15年11月比で5%増。投資損失や為替差損の影響で純利益は同6.3%減少したものの、税引き後営業利益(OPAT)はAER、CERベースで同9%増、14%増の19億6000万米ドルに達した。中間配当は1株当たり0.22HKドルの予定で、前年同期比17%の増配。BOCIはディフェンシブ性の高い優良銘柄として同社を高く評価し、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

新規契約の獲得状況は特に香港と中国本土で好調で、両市場における新契約価値はそれぞれ前年同期比60%増、49%増を記録した。中でも香港ではANPが83%増え、その約半数を本土系の顧客が占めた。同社株が年初から本土系同業銘柄をアウトパフォームする中、市場では過去数年間の急成長ペースを今後も維持できるか懐疑的な見方が広がっているが、BOCIは同社の事業エリアの多様性や長期保障商品を重視する経営戦略、保守的な料率決定システム、優れたリスク管理手腕などを高く評価している。また、旺盛な保険商品需要の伸びを理由に、今後の成長性に対する市場の懸念を過剰反応であると指摘。新契約価値や収入保険料、ANP、利益などほぼすべての面から、同社の中国本土/香港ビジネスは本土同業のビッグ4と比べて堅調が期待できるとした。

ただ、韓国事業の長期見通しに関しては慎重。同国における厳しい事業環境の下、経営陣は採算性重視、資本金の一部引き揚げといった戦略を明らかにしているが、BOCIはこの先、事業規模が弱点となる可能性を指摘。場合によっては同社全体の資本効率にもマイナス影響を及ぼすとした。同国の規制環境が変わらない限り、目立った状況の改善には期待しにくいとみている。

BOCIはEVや新契約価値に関する予測を上方修正した上で、P/EV倍率(株価EV倍率:株価をEVで割った値)に基づいて目標株価を引き上げた。新たな目標株価の16年度予想P/EV倍率は2.13倍。ROEV=リターン・オン・エンベディッド・バリュー12.0%などを想定している。同社株価のバリュエーションは本土保険を上回っており、P/EV倍率の格差は拡大傾向にあるが、BOCIは同社がプレミアムに値するとの見方。低金利環境下でのEVの底堅さなどを同社の強みに挙げた。一方、今後のレーティング見直しにつながる可能性があるリスク要因としては、株式相場の変動や金利動向による利益への影響を指摘している。