主力のLCD部門が見通し改善、AMOLEDなど新規事業が長期成長エンジンに

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00732 信利国際 (トゥルーリ・インターナショナル)  4.11 HKD
(07/27現在)
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BOCIは韓国のサムスン電子や複数の台湾系サプライヤーによるLCD(液晶ディスプレー)生産力の削減を受け、2016年1-3月から世界的に小型LCDの供給ひっ迫感が高まっていると報告し、こうしたトレンドが16年下期も続く見通しを示している。中でもスマートフォン用のLCDモジュールは供給ひっ迫から4-6月期に20-30%値上がりし、信利国際を含む大手サプライヤーが市場シェアの拡大や価格交渉力の向上といった恩恵を受けているという。同社の主要取引先の出荷状況も年初から一貫して好調。また、同社ではAMOLED(アクティブマトリクス式有機EL:有機ELディスプレー装置の一種)やフィンガープリンティング、オートディスプレーといった長期成長分野の開発が順調に進んでおり、BOCIは短期、長期の両視点から同社を楽観視。株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げている。

主要取引先である中国本土のスマホベンダーのOppoやVivoの出荷台数は1-3月にそれぞれ前年同期比153%、123%の急増となった。また、中小都市部のスマホ買い替え需要を追い風に、続く4-6月も前期比15%、9%の伸びを示すなど勢いを維持。取引先の販売急増や市場シェアの拡大を受け、信利国際の上期の受注も好調だった。うちVivoは信利国際にとって最大の取引先であり、15年通期の売上構成比は22%。Oppoを加えた大口2社の売上構成比は30%超に達している。

信利国際は自社技術を証明する目的で、すでにAMOLEDのサンプル製品を生産済み。フィンガープリンティングについては、月産能力を現在の200万-300万台から、16年末までには600万-700万台に引き上げる計画を明らかにしている。また、オートLCDに関しては、広東省恵州の4.5G TFT LCDラインが7-9月中に量産を開始する見込み。まずは月産6万枚規模となるが、この先、段階的に生産能力を拡大する予定であり、向こう2-3年間で倍増させる可能性があるという。

一方、16年4-6月期決算の売上高は前年同期比3.8%増の50億3000万HKドル(未監査速報値)。BOCIは市場競争の緩和を背景に、粗利益率が安定推移したとの見方。同期決算について同8%の増益を予想している。

BOCIは川上、川下部門の活性化を理由にLCDモジュールビジネスに対して楽観見通しを強めるとともに、AMOLEDなど長期成長エンジンの存在を指摘。同社の16年、17年の予想純利益をそれぞれ8%、10%の幅で増額修正した。また、短期、長期視点から力強い成長を見込み、目標株価のバリュエーションベースを17年予想PER8倍から同12倍に修正。これに伴い、目標株価を大きく引き上げた。レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、フィンガープリンティング市場の競争激化や予想以上に速いスマホディスプレー製品の価格下落の可能性などを指摘している。