資産の健全性が強み、利ざや縮小圧力も限定的か

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00939 中国建設銀行(チュウゴクケンセツギンコウ)  5.29 HKD
(07/13現在)
 株価
 企業情報
 チャート

BOCIは中国建設銀行の訪問リサーチを通じ、同行の資産構成に対する相対的な高評価をあらためて確認した上で、貸倒引当金の緩やかな縮小や手数料収入の堅調見通しを指摘し、2016年、17年の予想純利益をそれぞれ1%、16%増額修正した。同業銘柄と比較した資産の健全性や自己資本比率の堅調を理由に、同行に対して楽観的。中国経済の下押し懸念や一段の人民元安を理由に、銀行銘柄全体のディスカウント率を引き上げ、同行H株の目標株価を4%引き下げながらも(A株目標は8%引き下げ)、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

同行は16年上期も慎重な融資姿勢を継続。BOCIが相対的に安全資産と見做している不動産担保ローンが新規融資全体に占める割合は60-70%に達した。同行の不動産ローン残高の比率は15年末には28.7%だったが、その後も同業銘柄の中で最も高い水準を維持した可能性が高く、この点が長期的な不良債権比率の抑制に寄与する見通しという。また、同行の場合、余剰設備問題が深刻な一部の従来型産業に対する融資比率が相対的に小さいこともプラスとされている。

経営陣は不良債権比率の短期的な上昇ペースの減速と新たな不良債権発生率の横ばい推移を予想。その理由として、大口顧客向けホールセール部門の不良債権比率の小幅の改善見通しを挙げた。BOCIは不動産業、採鉱業、製造業などの不良債権拡大リスクを引き続き注視していく必要があるとしながらも、不良債権の急増は考えにくいとしている。

純金利マージン(NIM)の縮小ペースは16年1-3月期に改善したものの、今後も縮小圧力は続く見通し。BOCIは4-6月期についてNIMの一段の縮小を予想しながらも、7-9月期に関しては前期比横ばいを見込んでいる。

同行経営陣はローン外の与信についてリスク管理を強化し、本店において大半のプロジェクトの審査を行っている。また、インターバンク(銀行間)ビジネスのリスク管理に向け、専門部署を新たに設置した。BOCIはこうしたローン外分野における同行の信用リスクについても、同業銘柄平均を下回るとみている。

BOCIによると、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因は、予想外の不良債権比率の悪化や16年下期の手数料収入が急速に落ち込む可能性など。

中国建設銀行のH株の現在株価は16年予想PBR(株価純資産倍率)で0.72倍と、中国工商銀行(01398)の0.70倍をやや上回る水準にある。ただ、BOCIは相対的なROE(株主資本利益率)の高さや資産の健全性を考慮した上で、中国工商銀行を上回るプレミアムに値するとみて、中国建設銀行の目標株価を16年予想PBR0.84倍の水準に設定。H株株価の先行きに対して強気見通しを継続している。