販売伸び率加速も在庫増大が懸念材料、値下げの影響で4-6月期に減益見通し

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02333 長城汽車(グレートウォール・オートモービル)  6.51 HKD
(07/06現在)
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長城汽車の2016年6月の販売台数は、前年実績の低さやニューモデル「H7」の伸びを背景に前年同月比29%増を記録。これで上期の販売台数は前年同期比8.4%増となった(1-5月は同5.5%増)。ただ、ディーラー在庫は4月から増加傾向にあり、多くの車種の在庫日数は6月末時点で警戒レベル(1.5カ月)を超える水準にある。BOCIは4-6月の販売台数が同11.5%増に加速したことに言及しつつも、3月以降の値下げキャペーンが平均販売価格や利益率の低下につながる可能性に触れ、利益縮小圧力が続いているとの見方。在庫増や利幅悪化に加え、SUV市場でシェア維持の切り札となるようなニューモデルの欠如を指摘し、目標株価(16年予想PER7倍)を据え置いた。同社株価の先行きに対して中立見通しを継続している。

6月の販売台数は前年同月比29.0%増の6万5583台で、前月比では8.4%減だった。車両タイプ別に見ると、主力のSUVが前年同月比35.4%増、ピックアップトラックが同10.9%増。一方、セダンは「C50」の5月の生産終了もあり、同45.0%の大幅な落ち込みとなった。モデル別では「H6」シリーズの貢献が引き続き最大で、6月の販売台数は同60.1%増の3万7547台。うちH6クーペが約9000台を数えた。また、「H7」は3594台と、ほぼ経営陣の予想通り(16年下期に月間4000-5000台)の数字だった。

16年上期の販売台数はこれで前年同期比8.4%増の45万252台となり、通期目標(前年比11%増の95万台)の消化率は47.4%。下期の販売台数は例年、上期を上回るため、BOCIは通期目標の達成を見込む。

BOCIが行った同社販路のリサーチによれば、ディーラーレベルの在庫日数は6月末時点で約2.0カ月。うちSUVは2.0カ月以上であるとの結果が示された。BOCIはオフシーズンであることを考慮しても、警戒レベルを超える2.0カ月との数字は高すぎるとの見方。7月、8月には在庫処理圧力が強まるとみている。

四半期で見ると、4-6月期の販売台数は前年同期比11.5%増、前期比では7.1%減。高利益率の「H6」シリーズの売上比率が前期の52.0%から54.8%に上向く半面(前年同期は43.3%)、低利幅のセダン車の比率が縮小し、製品ミックスが一段と改善した。ただ、同社は3月から5月にかけ、「H6アップグレード版」「H6スポーツ」「H2」の実質値下げを実施しており、この点が最大の利幅圧迫要因となる見込み。BOCIは4-6月の粗利益率が前期を1-2ポイント下回ると想定した上で、同期純利益が18億5000万-20億元にとどまるとみている(前年同期実績は22億元)。

BOCIは同社の利益見通しを据え置いた上で、16年予想PER7.0倍に当たる現行目標株価を維持した。予想PERが同業銘柄を下回る点については、利益成長率の点で見劣りする点や競争力の高いニューモデルが見当たらないことなどを理由に挙げている。