16年下期にさらなる販売好調を予想、ニューモデル投入や生産増強が寄与

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00175 吉利汽車(ジーリー・オートモービル)  4.17 HKD
(06/30現在)
 株価
 企業情報
 チャート

吉利汽車の販売台数は16年4月から回復傾向にあり、BOCIは4-6月期について前年同期比約20%の伸びを見込んでいる(1-3月期は同2%増)。新たなSUVモデル「NL-3」や「GS」は生産が追いつかなくなるほどの好反応を得ており、既存のセダン車「EC7」「Vision(遠景)」の売れ行きも市場の悲観見通しとは裏腹に堅調。BOCIは販売成長や利益率の安定推移などから、上期のコア利益の安定増を見込み、下期に関しても生産増強やニューモデル「Vision X6」「Emgrand(帝豪)GL」の投入が販売伸び率の一段の加速を後押しすると予想。同社の目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。販売見通しの上方修正やSUVの比重拡大による製品ミックスの改善を背景に、16年、17年の利益見通しをそれぞれ6.7%、3.3%増額修正している。

6月の販売台数について、BOCIは前年同月比30-36%増の4万3000-4万5000台を予想し、5月の同11.8%増からさらに加速するとみている。3月後半、5月前半に発売したSUVニューモデルに対する市場の好反応が楽観見通しの理由。うち「NL-3」については6月末までに約4万台、「GS」に関しては約1万台の受注を見込む。

「NL-3」の供給ひっ迫を解消するため、同社は先ごろ親会社から陝西省宝鶏の工場を買収。9月から同工場での量産を開始する運びとなった。BOCIは既存工場の増産と宝鶏工場の貢献を合わせ、10-12月期には「NL-3」月産台数が1万5000-2万台に達すると予測している。

今後はまず、「GS」と「NL-3」の中間価格帯に位置するコンパクトSUV「Vision SUV」(NL-4)を8月にも発売。さらに9月にはA+セダン「Emgrand GL」を投入する予定となっている。17年にはA0クラスのSUVや新世代EC-7といったニューモデルを発売する見通しだが、BOCIはほかに、新たに構築する「CMA」(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャ)プラットフォームが焦点になるとの見方。17年上期にはCMAプラットフォーム上でA+SUVの生産が始まるとみている。

BOCIは16年上期の販売台数について、前年同期比約10%の伸びを見込んでいるが、これは市場の事前予想(1桁台半ばから後半)を上回る数字。下期に関しては同30%超の伸びを見込み、16年通年の販売台数見通しを60万台から62万台に上方修正した。主に「GS」「NL-3」に関する予想値を引き上げたという。

一方、16年6月中間期の純利益については、為替変動要因を除外した上で15億-16億元を予想している(前年同期実績は14億元)。販売台数の約10%の伸びに加え、利益率の安定推移が寄与する見込み。また、為替要因に関しては、上期のロシア・ルーブル高に言及し(6月29日時点で1元=9.79ルーブル、15年末には同11.2ルーブルだった)、過去2年間続いた為替差損が差益に転じるとみている。