6月27日
6月後半も全国平均価格が下落、東部市場の不調や悪天候が影響

中国国内のセメント平均価格は6月20日-26日週に前週比0.45%安の1トン当たり255.42元にとどまり、これで3週連続で下落した。前年同期比では1.45%安(前の週は同2.04%安)。主に東部地域で1トン当たり10-20元の値下げが行われたためで、その他地域でもセメント価格の上昇は見られなかった。6月後半のセメント需要の低迷は主に、悪天候の影響や農作業シーズン、高校入試シーズンに当たったことなどが背景。東部では協調減産計画が実施されなかったことも価格下落要因となった。

BOCIはセメント銘柄の中で、華潤水泥控股有限公司(チャイナリソーシズ・セメント:01313)を最有力視している。公共インフラ建設の加速を受け、同社が主力とする南部でセメント需要が力強い回復傾向を示していることが理由だ。南部では5月の段階で平均販売価格も底入れしたとし、年内は市況回復トレンドが続くとみている。

また、安徽海螺水泥(アンホイ・コンチ・セメント:00914)の株価の先行きに対しても強気見通しを示している。同社は国内業界のコストリーダー(コスト競争力が高い)。買収価格が相対的に低水準にある現在、財務力の強い同社には、M&Aを通じて優位を固めるチャンスが到来している。経営陣や営業チームの安定感や発展戦略の一貫性、新たな経営陣の専門性の高さなども、投資家にアピールできる同社の強み。ただ、主力とする東部市場でのセメント価格の下落が、当面は株価の重しとなる見通しという。

一方、BOCIは西部セメント(02233)の株価の先行きに対して中立見通しを示している。新たな支援材料がない限り、一段の株価上昇には期待しにくいとの見方だ。

なお、6月20日-26日週のセメント価格動向を地域別に見ると、北京市を含む華北では横ばい。うち河北省では需要が萎縮する中、適正在庫レベルの維持を目指した減産計画の実施が価格の安定化に寄与した。一方、東北地域では参考価格が高めに設定されたものの、実際には価格調整圧力にさらされ、特に遼寧省などで値上げ計画が空振りに終わった。同省のセメント生産者は生産量全体の30-50%を、より価格の高い黒竜江省や吉林省市場に振り向けたという。また、東部地域のセメント価格も引き続き軟調。うち江蘇省では1トン当たり10-20元下落し、これで5月以来の下落幅は50元となった。雨季の需要減や市場競争の劇化、前週比での在庫増などが響いた。ほかに浙江省、安徽省、江西省でそれぞれ1トン当たり10-15元、10-20元、20元下落している。

華南地域では6月20日-26日週のセメント価格は横ばい。うち広東省の珠江デルタ周辺では4回目の値上げが行われた。同省南部では軟調だったが、BOCIは短期的な価格の安定を見込む。ほかに湖南省の中部では天候回復を受け、生産者が相次いで5-10元の値上げに動いた。対照的に、四川省や重慶市などの南西部地域では、セメント価格は軟調。四川省の北部・東部では在庫の高止まりを受け、1トン当たり20-30元の下落。