5月16日
「水資源税」導入など新たな環境政策発表、業界全体の長期成長にプラス
中国政府はこのほど、水資源税改革と生態保護に絡む新たな補償メカニズムの導入を発表した。いずれも水資源の保護や関連プロジェクトに振り向ける資金源を広げることが目的。BOCIによると、水資源税改革と補償制度がこの先、全国規模で履行されれば、地方政府は環境修復プロジェクトへの投資を積み増し、関連サービスに対する支払い保証をより手厚くする見込み。この分野で積極的かつ革新的なアプローチを取る北控水務集団(00371)に恩恵が及ぶ可能性が高いという。
中国財務部および国家税務総局は資源税改革に関する通達の中で、2016年7月1日から現行の「水資源費」を「水資源税」に切り替える方針を発表した。改革試験拠点は河北省。BOCIは同省が選ばれた理由として、◇地下水の過剰開発問題が最も深刻で、年間の地下水消費量が資源量の159%に上ること◇水不足が深刻で、1人当たり水資源量で省市別のワースト3であること◇理論的には年間の水資源費収入が省市別で最大であること(BOCIの試算では国内全体の約10%を占める)――などの点を指摘している。
新たに試験導入される水資源税は、基本的に水資源費とほぼ同じであり、主に以下の通りとなる。◇地表水に関しては1立方メートル当たり0.4元、地下水では同1.5元を最低基準に段階が設定され、工業ユーザーの負担を相対的に高水準に設定する◇水使用量が当局の定めた割当量を20%、20-40%、40%上回った場合、それぞれ基準値から1.5倍、2倍、3倍の上乗せが適用される◇地下水の開発が特に深刻なエリアでは3倍の税額が適用される◇無許可の水消費は税額が4倍◇再生水利用は免税とする――。
天然水の消費にかかる現行の水資源費は06年4月、節水の奨励や水関連プロジェクト向けへの資金確保を目的に導入された。中央政府、地方政府が10%、90%の比率で分け合い、全額を年度予算に組み込む方式。BOCIは、新規水資源税も水供給料との扱いで徴収されると指摘。ただ、仮に他の資源税と同様の扱いになるのであれば、税額の100%が地方財務当局の税収となる。また、地方当局が水資源税をそのまま環境修復プロジェクト向けの設備投資やサービス料金などの支払いに振り向けるのであれば、「大型プロジェクト向けの地方の財源不足」という市場の懸念が払拭される見通しという。
一方、国務院は5月13日、生態保護補償メカニズムに関する意見を発表。この中で、基本的に「受益者が保護者に対し、エコサービスの提供において相応分を補償する」との原則を示した。北京市は昨年すでに同メカニズムのトライアルを開始し、水質が基準レベルに達しない場合、川上地区が月額最低15万元を川下に対して支払うなどの補償システムを導入済み。BOCIはこのシステムが行政地域をまたぐ環境プロジェクトにおいて各権益保有者の責任の所在を明確にするとの見方。水処理サービス料金の財源確保につながるとし、環境保護セクターの長期発展にプラスと受け止めている。
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