iPhone不振などで1-3月期は小幅増益、4-6月期以降は成長加速へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02018 瑞声科技控股 (AACテクノロジーズ)  57.70 HKD
(05/13現在)
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瑞声科技控股の2016年1-3月期決算は、主に米アップル向けビジネスの落ち込みが痛手となり、BOCIの予想通り小幅の増益にとどまった。音響部門はスピーカーボックスの仕様のアップグレードやスピーカーの出荷増を背景に好調だったが、非音響部門はiPhone出荷台数の低迷や楽視網(深セン300104)のスマートフォンモデルの移行期に当たったことなどが響いて苦戦した。ただ、BOCIはRF(高周波)ビジネスとアンドロイド向け音響ビジネスの回復を見込み、4-6月期から成長ペースが加速するとの見方。目標株価を引き上げた上で、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

1-3月期決算は前年同期比10.4%の増収、同2.1%の増益。粗利益率は40%超の水準を維持したが、研究開発費の対収入比の上昇で純利益率は2.0ポイント低下した。

部門別では音響事業が好調で、ダイナミック(音響・振動)部品の売上高は1-3月期に前年同期比36%増。売り上げ全体に占める割合は66%に上向いた。仕様のアップグレードや中国の顧客への浸透を受け、スピーカーボックスが同40%増収。スピーカーも中国の取引先への出荷量の伸びを背景に、79%の大幅増収を達成した。同社全体で見た場合、中国の取引先向けの売上高は41%増。売り上げ構成比は35%を超えた。

一方、非音響部門は取引先の販売不振が響き、前年同期比19%の減収。前四半期比では60%の大幅減収となった。うちハプティクス(触覚技術)ビジネスではiPhoneの出荷台数減少(15年10-12月期に7500万台、16年1-3月期に5100万台)を受けた平均販売価格の低下や、自社への割り当て率の縮小(80%から60%へ)が響いた。また、RFビジネスに関しては、主要取引先である楽視網のスマホ・ニューモデルの投入が4月まで空白期に当たったことが影響した。

経営陣は続く4-6月期に前四半期比で2桁の成長を見込んでいる。粗利益は15年並みにとどまるものの、スピーカーボックスの取引先拡大や新たなステレオ音響へのアップグレードが、アンドロイド顧客向けの音響ビジネスの伸びに寄与する見通しという。一方、同社は設備投資予算を25%積み増し、30億元に設定したが、主にRFおよび音響事業に投下する方針。自前のCNC(コンピュータ数値制御)を2000台に引き上げたほか、自社工場の近隣でアウトソース用CNC3000-4000台を確保する計画という。

BOCIによると、レーティング見直しにつながる可能性がある同社の潜在リスク要因は、iPhoneの売れ行きが予想以上に低迷する可能性や、中国ブランドによる同社スピーカーボックスの採用が遅れる可能性。ただ、BOCIはRFと音響事業の回復を理由に4-6月期以降の業績を楽観。7-9月期にはiPhone7の発売が追い風になるとの見方だ。16年、17年の平均予想PER15倍をあてはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを据え置いている。