16年1-3月期に微増益、ARPUの08年以来の反転上昇に注目集まる

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00941 中国移動(香港) (チャイナ・モバイル)  88.70 HKD
(04/21現在)
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チャイナ・モバイルの2016年1-3月期の純利益は前年同期比0.3%増と、ほぼBOCIの予想通りの水準だった。サービス収入の同4.9%の伸びが小幅増益に寄与した。同期にはまた、ARPU(加入者1人当たり月額収入)が同2.5%増と、08年以来初めて増加に転じた。市場ではケーブル事業者に対する通信事業免許の交付に対して懸念が高まっているが、BOCIはこれを市場の過剰反応と指摘。全国規模の光ネットワーク構築にかかる膨大な費用や相対的に低いリターンに言及し、新規参入組が既存の通信キャリアに対抗するのは極めて難しいとの見方を示した。同社の目標株価を据え置き、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

1-3月期決算で最も注目されたのはARPUの反転上昇。前年同期の59.4元から60.9元へ、2.5%の幅で上向いた。BOCIは音声通信利用の落ち込みを理由に、売り上げ成長がほぼ全面的にデータ通信サービスに依存した可能性を指摘している。

市場では現在、ケーブル事業者への通信事業免許の付与に対して懸念が広がっているが、BOCIはこの点で楽観的。正規免許を受ける前からブロードバンドアクセス・サービスを展開していた主要都市部のケーブル事業者が、ほとんど成功を収めていなかった点を指摘。新規参入組が自前の光ネットワークなしに既存の通信キャリアに対抗するのは、中国だけでなく世界的にみて極めて困難としている。

BOCIによると、レーティング見直しにつながる可能性がある同社の潜在リスク要因は、3大通信キャリアのうち残る2社、チャイナ・ユニコム(00762)、チャイナ・テレコム(00728)との競争激化。4G市場におけるチャイナ・モバイルの独占状況の後退が大きな懸念材料になるという。3大キャリアは鉄塔施設の共有に向け、中国鉄塔股フン有限公司(鉄塔公司)を共同設立したが、BOCIによれば、この動きが向こう1-2年にわたり、ユニコムとテレコムのネットワークの質的向上を後押しする見込み。ネットワークのカバー範囲というチャイナ・モバイルの長期にわたる優位性が、この先後退する可能性があるという。

BOCIは4Gサービスへの乗り換え加速やマーケティング費用(主に端末補助金)の低減による利益率の維持を見込み、中国通信セクターに対する強気のレーティングを据え置いた。ただ、16年下期の競争激化を見込み、個別では相対的に規模が小さい競合2社、チャイナ・ユニコム、チャイナ・テレコムを選好している。