高速鉄道・地下鉄建設プロジェクトの加速が追い風、収益見通しを楽観

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01766 中国中車 (チャイナ・シーアールアールシー)  8.06 HKD
(04/18現在)
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BOCIは中国の「第13次5カ年計画」(2016-20年)期間の鉄道完工規模が前5カ年並みの3万kmとなる見通しを示すと同時に、鉄道建設全体に占める高速鉄道の比重拡大が、機関車および貨物車の需要減を補うと予想。さらに地下鉄車両や新規ビジネス(新素材、風力発電機、新エネルギーバスなど)の加速が売り上げ堅調を支えるとみて、中国中車の利益見通しを楽観している。また、コスト削減を背景に、増収率を上回る増益ペースを達成すると予測。株価の先行きに対して中立から強気見通しに引き上げた。

売上高やコストが前年比横ばいとなる見通しから、同社の16年の利益成長率は鉄道建設(ゼネコン)銘柄を下回る見込み。全国の鉄道建設・運行を管轄する中国鉄路総公司(CRC)が設定した16年の鉄道開通目標は3200km。BOCIは当初、16年の完工距離の縮小が中国中鉄の利益圧迫要因になるとみていたが、その後、新規ビジネスの寄与や合併のシナジー効果としてのコスト削減が16年から期待できるとの見方に転じた。完工距離は年ごとに増減するものの、同社の利益トレンドに大きく影響しないとみている。

機関車と貨物車両の販売量は16年に減少する可能性が高く、BOCIはそれぞれ前年比18%減、15%減を予想。商品需要の萎縮で鉄道貨物輸送量が15年に前年比11.9%減、16年1-3月期に前年同期比9.4%減と、大きく低迷していることが背景。ただ、動力分散式列車(MU)の販売量の小幅増や、高速輸送車両(RTV)の大幅増、新規ビジネスの伸びが機関車などの不振をカバーするとみて、16年に前年比5.6%の増収を見込む。

今後の急成長が期待される高速輸送車両(RTV)は、地下鉄や高架鉄道などの都市型輸送網に用いられる車両。こうした都市鉄道の建設は地方政府レベルで認可されるため、長距離鉄道などと比べて新規プロジェクトの進行が早い。中国の地下鉄総延長は15年末時点で約3500kmだったが、BOCIによると、2020年には倍増する見通しという。国内唯一のRTVサプライヤーである同社にとって、地下鉄建設の加速は確実に追い風。BOCIは16年のRTV販売量について前年比8.0%増を見込んでいる。また、全国鉄道網、都市間鉄道、都市地下鉄という3つのネットワークが連結するのに伴い、今後は旅客輸送市場における鉄道のシェアが拡大するとみている。

一方、15年通期の新規受注は前年比3.4%増。期末の受注残高は前年同期比8.6%増。受注残高のうち2割を海外が占めた。品目別に見ると、MU、RTV、新規ビジネスの受注残高がそれぞれ12%増、64%増、34%増。BOCIはMUの前年実績の高さや機関車/貨物車の不振を理由に、16年の新規受注の落ち込みを予想しながらも、受注減はあくまで一時的な現象にとどまるとしている。

BOCIは16-18年について、それぞれ前年比8.5%、8.3%、10.6%の利益成長を予想。16年予想PER16.5倍をあてはめて目標株価を引き上げ、強気見通しに引き上げた。