禁輸措置違反の容疑で米国当局が調査、生産活動はひとまず正常化

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00763 中興通訊 (ZTEコーポレーション)  14.16 HKD
(04/07現在)
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中興通訊の2015年通期純利益は前年比22%増の32億800万元となり、事前に発表した速報値を15%下回った。米国政府当局が調査・制裁対象としたビジネスに絡み、収益調整を行ったことが原因(制裁下にあったイランの政府系通信会社に対して米国製監視システムを輸出したという禁輸措置違反の容疑)。当該契約に絡む将来的なキャッシュフローの再評価などを実施したことで、15年10-12月期の売上高、利益の下方修正を余儀なくされた。経営陣は米国政府当局に協力し、早期の問題解決を図る意向。BOCIは目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

15年通期の売上高は前年比23%増の1001億8600万元。主に通信キャリア向けのネットワーク設備事業の好調が寄与したが、ほかに政府機関や企業向け、消費者向けなどの各種ビジネスも堅調だった。粗利益率、純利益率は10-12月期に低下したため、通期では前年比ほぼ横ばい。営業キャッシュフローは過去最高となる56億元を記録している。一方、10-12月期には売上高が前年同期比40%の伸びを示したが、米国当局による調査が痛手となり、営業損益は1億2900万元の赤字。同期純利益は同25%減少した。

米国での一件に関しては問題解決に向け、米国政府と意思疎通を図っている段階にある。中国政府、同社、米国政府との話し合いを受け、米国当局はとりあえず、3月24日に臨時措置として一般事業免許を交付。輸出制限の適用はひとまず16年6月末以降に延期される運びとなった。経営陣は臨時免許の交付を受け、「米国政府は調査段階における正常な生産事業の維持を認めた」とした上で、6月の免許更新に対する自信を表明。制裁の早期解除を望むとコメントしている。

BOCIによると、臨時の一般免許発給を受け、同社のコンポーネント供給事業はすでに正常化した。3月8-24日の2週間にわたる制限期間中、同社はその他生産事業向けに在庫やサプライチェーンを活用したという。

一方、経営陣は国内通信業界の先行きを楽観視している。データおよび動画需要を背景に、通信キャリアの固定ネットワーク投資が続くと予想。携帯通信の屋内カバー範囲の拡大も投資全体の底上げに寄与するとみている。同社はまた、インセンティブとしての現行のストックオプション・スキームをあくまで継続する方針。このスキームは16年通期純利益を14年比で44%増、16年のROEを10%(政府補助金などの特別項目を除外)とするのが必須条件となっており、これをクリアするためには16年に約40億元の純利益を計上する必要がある。

BOCIは米国での一件によるマイナス影響を反映させ、16年の予想純利益を10%減額修正。規制リスクを織り込み、16年予想PER14.4倍(長期平均PERを20%下回る水準)相当に目標株価を引き下げながらも、強気見通しを据え置いている。