15年下期に黒字化達成、16年も在庫処理が最優先課題に

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02331 李寧 (リネイ)  3.73 HKD
(03/24現在)
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BOCIは李寧の2015年12月本決算発表後、同社経営陣とのミーティングの場を設けた。同社は3年にわたる赤字決算の後、15年下期についに黒字転換したものの、業界全体の在庫水準が予想を上回る中、業績回復はかなりスローペース。ただ、BOCIは業界ダイナミクスの複雑化や国内消費者の志向の変化に触れ、同社の経営戦略の方向性を評価。採算化路線に疑いはないとし、今後の在庫処理のさらなる進展や粗利益率の改善を予想している。

15年本決算では在庫引当金戻入れの縮小などが影響し、粗利益率はほぼ横ばいの45%。BOCIはこの要因を除外した場合、粗利益率が0.7ポイント上乗せされたとの見方だ。ただ、李寧の場合、高利益率の直営店が相対的に多いにもかかわらず、粗利益率は競合の安踏体育用品(02020)の46.6%を下回る水準。BOCIはその理由として、小売部門の値下げ幅拡大や旧製品の増大を指摘している。李寧の小売価格の値下げ幅は推定30%台半ばと、安踏の20%台後半を上回るという。また、12カ月を超える旧製品の比重は20%未満が適正とみられるが、実際には24%。従って、李寧の16年の最優先任務は在庫処理になるとし、そのめどが立った後に新製品の値下げ幅が縮小する見通しを示した。BOCIは一方で、より多くの直営店出店が予定されることやネット販売の増加見通し、コスト削減観測などから、同社の16年の利益率を楽観。粗利益率の1ポイントの改善を見込んでいる。

李寧は北京-天津間の物流管理に関して、米ナスダック上場のネット通販会社JD.com(京東)と提携。同エリアの店舗向けの在庫商品をJDの倉庫に保管している。BOCIはこの提携を前向きに評価し、その理由として、◇JDの専門スキルを利用することで物流コストを圧縮できる、◇JD側としても顧客のショッピング体験の向上を目指す上で、李寧のような国内有力ブランドとの提携を必要としていた、◇李寧のネット通販売り上げの拡大にも寄与する――などの点を指摘した。李寧は昨年7月、新興スマホブランドの小米(シャオミ)と提携してスマートシューズを売り出したが、今年はより多くのスマート製品を投入する計画という。ちなみに小米と提携したスマートシューズは15年に35万足を販売し、オンライン売り上げの12%を占めた。

BOCIは直営店、フランチャイズ店、オンラインの売上構成比を40対40対20とする同社目標を踏まえ、長期の純利益率の適正水準が10-12%になるとみている。また、10億元が実現可能な利益水準になると指摘。その上で、現在株価(PER7倍)の値ごろ感に触れ、同社株価の先行きに対する強気見通しを継続した。一方、在庫処理やコスト管理が予想以下にとどまる可能性などが、同社の潜在的なリスク要因になり得るとしている。