15年通期に予想を上回る13%増益、16年の4Gネットワーク効率改善に期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00728 中国電信 (チャイナ・テレコム)  3.91 HKD
(03/24現在)
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チャイナ・テレコムの2015年12月本決算は、純利益が前年比13%増の201億元に達し、BOCI予想(181億元)、ブルームバーグの市場コンセンサス予想(191億元)からともに上振れた。国内のキャリア3社が共同設立した中国鉄塔股フン有限公司(鉄塔公司)への資産注入益を除いた場合、10-12月期のコア損益は2億元の赤字。これもBOCI予想(損失20億元)やコンセンサス予想より小幅の赤字にとどまった。BOCIは16年について、4Gネットワーク効率の改善がキャリア間競争を勝ち抜くためのカギになるとの見方。800MHz帯のリファーミングやチャイナ・ユニコム(00762)との基地局共有構想が、相対的に規模の小さいチャイナ・テレコムの強みとなる可能性を指摘している。BOCIはまた、16年、17年の利益見通しを小幅に減額修正したのに伴い、同社目標株価を引き下げたものの、株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。

15年にはVAT(付加価値税)改革や携帯端末ユーザーに対する未使用データ量の翌月持ち越し方式の採用が逆風となったが、それでも同社の15年通期のサービス収入は前年比2%増。10-12月期には前年同期比6%の伸びを示した。一方、通期のEBITDAは前年比横ばいの941億元で、10-12月期にはBOCI予想を3%ほど下回る176億元。鉄塔公司に対するリース料の支払いがかさみ、15年通期のネットワーク運営支出が前年比18.6%膨らんだことが響いた。経営陣によれば、鉄塔公司向けのリース料は、自社で鉄塔施設を運営していたころのコスト水準を20%ほど上回るという。こうした状況下で、経営陣は現在、鉄塔公司に16年のリース料値下げを要請中。また、ネットワーク運営費の削減に向け、チャイナ・ユニコムと4G基地局の共有を協議しており、経営陣は16年の現金支出の増加率が売上伸び率より小幅にとどまる見通しを示している。

15年10-12月期には2G、3G、4Gを含む携帯加入者全体のARPU(加入者1人当たり月額収入)が50.3元と、前期の56.1元から明らかに下向いた。10-12月期に未使用データ量の翌月持ち越し制を導入したことが響いたもよう。4Gおよび3GのARPUはこの先、4G客層の変化などから一段と低下するとみられるが、経営陣は16年通期のARPUが前年並みに踏みとどまる見通しを示している(BOCIの推定では15年通期のARPUは54.1元)。また、4Gサービスの新規加入件数は15年に5100万件。経営陣は16年の目標を6000万人超に設定している。

一方、16年の設備投資計画は前年比11%増の970億元で、うち460億元を4Gネットワークに振り向ける方針。4G基地局29万カ所の新設や屋内受信システムの導入を予定しており、うち4G基地局は16年末に80万カ所に達する見通しとなった。ちなみに15年の現金配当は前年並みの1株当たり0.095HKドル。設備投資の相対的な高止まりやフリーキャッシュフローのマイナス化により、増配は実現しなかった。