15年通期利益はほぼ横ばい、今後の収益見通しは安定的

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00941 中国移動(香港) (チャイナ・モバイル)  84.55 HKD
(03/18現在)
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チャイナ・モバイルの2015年12月本決算は、中国の通信キャリア3社が共同設立した中国鉄塔股フン有限公司(鉄塔公司)向けの設備リース費用の増大で、BOCIの予想を小幅に下振れた。また、チャイナ・モバイルの16年の設備投資の縮小幅は同業他社より小幅にとどまる見通しとなった。BOCIは鉄塔公司によるリース料金の高め設定を理由に、同公司のIPO計画が実現すると予想。このIPOはチャイナ・モバイルより、競合2社のチャイナ・テレコム(00728)、チャイナ・ユニコム(00762)により大きな恩恵をもたらすとし、その理由としてテレコム、ユニコムによる鉄塔公司の持ち株比率が、資産注入比率に比べて高水準にある点を指摘している。

チャイナ・モバイルの15年通期純利益はほぼ前年実績並みの1100億元と、市場コンセンサス予想の1123億元に届かず、BOCIの予想を3%下押しした。15年11月に携帯端末の未使用データ量を翌月に持ち越せる方式を採用したことで、10-12月期の携帯サービス収入は前年同期比9.3%減と大きく低迷。これで同期のEBITDAは26%減少し、コア利益は52%の落ち込みとなった。ただ、BOCIによれば、この件による業績への影響は一時的で、実質的に方針変更後の最初の3カ月間だけにとどまる見通し。また、15年通期純利益がほぼ前年並みだった点については、主に鉄塔公司への資産注入に伴う一回性利益の計上が寄与したと指摘している。

同社の設備投資は16年に1860億元と、前年比でわずか5%の減少率にとどまる見込み。経営陣は技術アップグレードによる高品質ネットワークの維持が重要との認識であり、うち41%を4Gネットワークの拡張に振り向ける方針を示した。鉄塔公司に支払う鉄塔設備のリース料およびメンテナンス料に関しては最大350億元を見込む。BOCIは鉄塔公司にとっては予想を上回るリース料がプラスとなるとの見方。16年にはキャリア3社のリース料・メンテ料が最大計700億元に達するとみて、鉄塔公司が採算にのせる可能性を指摘した。同公司は17年末までにIPOを実施する計画を明らかにしている。

BOCIによると、レーティング見直しにつながる可能性のあるチャイナ・モバイルの潜在リスク要因は、4Gのカバー範囲という同社の優位性がこの先消え、同業者間競争が激化する可能性。他に固定ブロードバンドビジネスの拡大が利益率低下につながる可能性に言及している。

BOCIは鉄塔リース料の高さや、音声通信収入の落ち込みを受けたサービス収入の減速(16年、17年に前年比1.9%増、2.4%増を予想)を織り込み、16年、17年の利益見通しを3.6%、5.3%減額修正した。さらに16年以降の設備投資削減幅が小幅にとどまる見通しを反映させ、DCF(割引キャッシュフロー)方式に基づいて目標株価を引き下げながらも、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。