2月12日
16年の住宅市況の安定を予想、販売件数は前年並みか

現在と過去の中国不動産市場の相違に関しては「政策動向」を挙げる向きが目立つが、BOCIは市場動向の違いに目を向け、不動産市況が同様に回復に向かった2015年と2012年の類似性が極めて高かった点を指摘。続く16年の市況が13年の再現になるか分析を加えている。13年を振り返ると、この年の不動産市況は一見好調だったが、不動産銘柄の株価は低迷した。BOCIによれば、16年と13年との最大の違いは前年からの不動産投資状況にあり、この点で16年はより楽観できるという。ただ、それでも、BOCIは短期的な需要委縮の可能性や、不動産てこ入れ策の残された選択肢に限りがあることなどを指摘。16年の不動産セクターの減速を見込み、セクター全体に対する従来の強気見通しを中立的に引き下げた。一方、個別銘柄に関しては総じて強気。相対的なファンダメンタルズの安定感や現在株価の低バリュエーションを理由に、カバー13銘柄のうち11銘柄に対して強気見通しを示している。

中国の不動産市場は12年、15年に金融緩和と潜在需要の喚起を受けて回復し、不動産銘柄もアウトパフォームした。12年の好調の後、13年には不動産銘柄がアンダーパフォームに転じたが、その理由は需要の減退や物件在庫の増大、不動産引き締め、流動性引き締めなどだった。16年と13年を比べた場合、顕著な相違は前年からの不動産投資が適正かどうか。13年には前年の土地取引市場の伸びが住宅市場の伸びを上回る勢いをみせるなど投資が過熱傾向にあったが、16年には逆に、前年の土地取引市場が低迷。これが今後の供給過剰感を抑制する見通しとなっている。

一方、ネガティブな一面に目を向けると、最近の指標には不動産需要の委縮の兆しが出ている。また、16年には前年の比較対象値の高さが伸び率を圧迫する見込み。不動産てこ入れ策の効果も後退しつつあるとして、BOCIはポジティブ、ネガティブ両面を考慮した上で、「16年の不動産市場は減速する可能性が高いとは言え、安定的に推移する」と予想。販売件数に関しては前年並みを見込み、1-3線都市の平均分譲価格については前年比で11.5%、5.2%、1.1%上昇するとの予測を示した。地域では上海市や長江デルタの2線都市、広州市や珠江デルタの3線都市に対して楽観見通しを示している。

政策面では、住宅ローンや住宅公的積立金、税制関連政策においててこ入れ効果が薄れるとしながらも、バラック街再開発計画(旧住民に対して補助金を支給し、住宅取得を勧める)が新築住宅需要の8%の上乗せにつながるとみている。長期的には都市化政策(農村部からの移住者に対する都市戸籍の付与)が需要上乗せに寄与する見通しという。

BOCIは個別では、ROE(株主資本利益率)が良好で負債比率が低く、かつ利益見通しの安定的な中国海外発展(00688)、華潤置地(01109)を選好。ほかに碧桂園(02007)や広州富力地産(02777)などを有望視している。