15年本決算で20%強の増収増益、RF事業が16年の成長エンジンに

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02018 瑞声科技控股有限公司 (AACテクノロジーズ)  54.80 HKD
(03/24現在)
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瑞声科技の2015年12月通期決算は、前年比24%の増収となった。うち音響部門は同8%増収。中国国内顧客向けのスピーカーボックスの売れ行き急増に加え、スピーカーの販売増および平均価格の上昇が寄与した。一方、非音響部門はiPhone6Sのハプティクス(触覚技術)装置のアップグレードやメタルケーシング・プロジェクトを背景に同60%の増収を記録した。同社全体の粗利益率は前年を0.3ポイント上回る41.4%。純利益は同28%の伸びとなった。続く16年について、BOCIはRF(高周波)ビジネスが成長エンジンになるとみている。また、iPhone7のアップグレードがハプティクス部門、音響部門双方の追い風になるとし、国内取引先によるスピーカーボックス需要の伸びも音響部門にプラスになると指摘。目標株価を引き上げるとともに、株価の先行きに対する見通しを中立見通しから強気に上方修正している。

アンドロイド顧客向けの同社の市場シェアは引き続き上向いている。経営陣は16年について、スピーカーボックス事業の貢献がさらに高まると予想。その理由として中国国内ブランドの成長を指摘した。また、今秋の発売が見込まれるiPhone7はウォータープルーフなどの新機能を備える可能性が高く、これが高額の音響装置需要につながる見通しという。経営陣は新たなトレンドに沿って、iPhone7に2つのステレオスピーカーが搭載されると予想。また、向こう3-5年に目を向けた場合、HiFiスピーカーの搭載や拡張現実(AR)、仮想現実(VR)機能の装備がスマートフォン各社の目標となる見通しを示している。

一方、経営陣はRFメタルケーシング事業について、16年に20件以上のプロジェクトを手掛ける見通しを明らかにした(15年は4件)。BOCIはRF事業の売上高が16年に前年比で大幅増を達成すると予想。その結果、RF事業の売上構成比が急上昇するとみている。同社はLeTV(楽視)スマホのケーシング事業を経て、この分野で経験や知名度を築き上げた。今後はコンピュータ数値制御(CNC)の生産能力を15年の800台から16年の2000台に増強し、さらに3000台を外部発注することで、総生産力を5000台とする計画。BOCIは投資リスクの抑制と柔軟な生産力調整という点で同社戦略を前向きに評価している。同社はまた、RF設計・試験などの分野に投資することで高利幅を確保する方針であり、RFビジネスの粗利益率を16年1-3月期に40%とする目標を掲げている。

BOCIはRF製品による大幅な貢献を見込み、16年の予想純利益を29%増額修正。16年予想PER15倍をあてはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する見通しを中立から強気に上方修正した。