12月11日
小型車減税効果で11月の新車販売が過去最高を記録、16年にはやや減速か

中国の新車市場は11月も前月からの流れを引き継ぐ形で好調を維持し、生産台数、販売台数ともに月別で過去最高となった。10月1日付で小型乗用車(排気量1600㏄以下)向け自動車取得税減税が導入されたことで、10月の新車販売は2桁成長を回復したが、11月にはさらに前年同月比20.0%増、前月比12.9%増の251万台を記録。うち乗用車は前年同月比23.7%増の220万台と、BOCIの予想(同14%増の202万台前後)を大きく上振れた。一方、商用車販売は同1.1%減と引き続き低調だった。

BOCIは、11月の乗用車販売の好調は需要、供給両サイドの動きに起因すると指摘。需要側では小型車減税がピークの需要喚起を後押しした格好。供給側では第2-第3四半期に苦戦した各社が、通期目標の達成に向けて販促活動を強化したことが寄与した。

11月には特に減税対象の小型乗用車が好調で、このカテゴリーが乗用車販売全体に占める割合は70.9%と、10月の69.0%から一段と上向いた。排気量別に見ると、1001-1600㏄が前年同月比29.9%増。減税対象から外れる1601-2000㏄も同16.4%の伸びを示した。一方、1000㏄以下のカテゴリーは同1.9%の増加にとどまり、他カテゴリーを大きくアンダーパフォームした。

車両タイプ別に見ると、引き続きSUV人気が他を圧倒し、11月の販売台数は前年同月比72.1%増。セダン、MPV、ミニバンはそれぞれ同9.1%増、8.8%増、7.0%増だった。BOCIは2016年も引き続き、SUVが新車市場の成長エンジンになるとみている。

一方、ブランド出身地別に見ると、11月にはこれまで苦戦してきたフォルクスワーゲン、GM、フォードといったドイツ、米国ブランドが大きく伸びた。また、中国の独自開発ブランド、いわゆる「自主ブランド」もSUV人気を背景に引き続き好調で、乗用車全体をアウトパフォームした。自主ブランドは1-11月で見ても前年同期比14.1%増と好調。乗用車市場に占める割合は41.1%に上向いた(14年通年では38.4%)。

11月の新車販売伸び率は2年ぶりの高水準に達したが、BOCIは都市部の渋滞や大気汚染といった経済・社会問題を考慮し、これほど高い伸びはそう長くは続かないとみている。15年の新車販売に関するBOCIの最新予想は前年比3.9%増(修正前2.2%増)。16年に関しては乗用車販売予想を前年比10.6%増から同9.6%増に引き下げ、新車全体に関する予想を同9.8%増から同8.9%増に下方修正している。

10月、11月の販売台数が市場予想を上回る半面、自動車セクターのバリュエーションはここ1カ月ほど変わっておらず、BOCIはその理由として、16年からの需要の腰折れ懸念を挙げた。香港上場の自動車銘柄は現在、16年予想PER9.3倍の水準で取引されており、BOCIはセクター全体としては9-10倍が適正との見方。個別では吉利汽車(00175)、長城汽車(02333)などの株価の先行きに対して強気見通しを継続している。