中国の旅行ブームが追い風、観光施設運営ビジネスが成長牽引へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00308 香港中旅国際投資 (チャイナ・トラベル)  3.46 HKD
(11/24現在)
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チャイナ・トラベルにとっては中国の旅行消費の拡大が追い風となっている。BOCIは中でも観光施設部門の好調を見込み、15-17年に年率平均30%前後の利益成長を達成するとみている。マーケティング戦略を受けた平均販売価格の上昇や来客数の伸び、2014年に買収した沙坡頭(寧夏回族自治区)の寄与などが強気見通しの理由だ。また、16年には同社にとっての支援材料が相次ぐ見通しを示し、具体的には◇ツーリズム不動産開発プロジェクト「珠海海泉湾」(OSR)の予約分譲開始、◇その他観光施設の買収見通し、◇峨眉山および楽山大仏(いずれも四川省)の観光施設経営に当たる合弁事業の設立観測――などを挙げた。同社株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

同社の各種事業の中では、観光施設部門が成長エンジンとなる見込み。BOCIは同部門のコア利益構成比が14年の16%から、17年には28%まで上向くとみている。既存観光施設の中では沙坡頭が牽引役になると予想。同社が引き続き、交通アクセスの改善や平均販売価格の引き上げに向けた投資を継続する見通しを示した。また、自律成長だけにとどまらず、16年、17年には1-2件の買収を実施するとの見方。その候補として梁山(山東省)、黄果樹瀑布(貴州省)、大理(雲南省)などを挙げた。このほか、峨眉山および楽山大仏の観光施設経営に当たる合弁会社が、16年下期にも創設される見通しという。

BOCIによると、同社は保有不動産の点でも潜在価値が非常に大きい。「珠海海泉湾」の予約分譲は16年下期に始まる予定だが、BOCIは香港-珠海-マカオ大橋が17年に完成する見通しに触れ、利便性の向上を受けた販売好調を見込んでいる。「珠海海泉湾」は総敷地面積95万平米で、ヴィラタイプの物件11万8000平米を建設する予定。もう1件の「安吉霊峰山リゾート」プロジェクトは敷地面積9万平米と相対的に小型だが、杭州、上海、寧波にアクセスしやすいプレミアムロケーションが強み。郊外型セカンドハウスを望む富裕層にとって魅力が大きい。BOCIによると、両物件の土地評価額は34億元。平均取得コストは1平米当たり1000元だったが、現在すでに同1700-1800元まで値上がりしているという。また、同社が保有するホテル6軒(うち4軒は香港)はすでに築20-30年。総額35億HKドルで原価計上されており、これまでの膨大な評価額の上昇分が反映されていないという。

一方、香港のホテル経営事業は、香港のインバウンド部門の低迷や個別の改装工事を背景に第3四半期も苦戦したが、ここに来て客室当たり収入に底打ちの兆しが見え始めた。BOCIは改装工事の完了やビジネス客による利用増を見込み(1泊800-900HKドルと割安)、16年の利益回復を予想。香港ホテル部門の業績不振を反映させる形で15年の利益見通しを調整しながらも、16年、17年に関しては現行予想を据え置いている。