11月12日
10月の新車販売、「小型車減税」効果で2桁増を回復

10月1日付の「小型車減税」の導入を背景に、中国の10月の新車販売台数は前年同月比11.8%増と、2桁の伸びを回復した(前月比では9.7%増)。販売台数は222万台と、年初から月別で最大だった。うち乗用車は同13.3%増の194万台(前月比10.6%増)。商用車も同2.3%増と、プラス成長に転じた。また、生産台数は同7.1%増(前月比15.5%増)と、これまで5カ月続いた減少局面を脱した。

排気量1600cc以下の小型車を対象とする自動車取得税の減税を受け、対象車種が10月の乗用車販売に占める割合は69.0%に上向いた(9月の65.6%)。ただ、実際には1600cc以下にとどまらず、より排気量の大きなカテゴリーでも売れ行きが改善。1000-1600㏄(乗用車販売全体の66%)が前年同月比18.3%増、1600-2000ccが同8.2%増だった。一方、1000㏄以下の販売台数は同15.7%落ち込んだが、1-9月に比べ、減少幅は縮小している。

10月の販売台数を車両タイプ別に見ると、セダン、MPVは前年同月比0.2%増、4.6%増と、いずれもプラス成長に転じた。人気のSUVは同60.6%増と伸びが加速。対照的にミニバンは同20.3%減と、減少率がさらに拡大した。

また、中国の独自開発車種「自主ブランド車」の販売台数は前年同月比19.4%増。SUVおよびMPVの売れ行き好調が自主ブランド車の伸びに寄与した。ただ、自主ブランド・セダンは同9.1%減と、引き続き低調。中外合弁ブランドを含むセダン車全体(同0.2%増)を大きくアンダーパフォームした。一方、合弁ブランドでは、米国系が同14.9%増と最も好調で、日系が同11.3%増と続いた。

小型車減税措置は16年12月末まで15カ月間の期間限定。BOCIは需要期という季節要因やメーカー各社が通期目標達成に尽力する見通しに言及し、続く11月についても好調を見込んでいる。ただ、乗用車販売については年内いっぱい前月比の伸びが続くとしながらも、前年同月比では12月から16年第1四半期まで、前年実績の高さが伸び率減速につながる可能性を指摘した。一方、BOCIは15年通年の新車販売を前年比2-3%増と予想(乗用車は約5%増)。16年については同約10%の伸びを見込んでいる。うち商用車に関しては、現在の環境基準に合致しない通称「黄色ラベル車」の廃車を促す政策方針が、買い換え需要を後押しする見通しという。

BOCIがカバーする香港上場の自動車銘柄は現在、16年予想PER平均9.2倍の水準で取引されており、うち自動車メーカーは個別に同6倍-10倍、部品メーカーは同11倍-12倍。BOCIはセクター全体で平均9-10倍が適正とみている。個別では、決算の上振れ期待などから長城汽車(02333)をトップピックとし、ほかに吉利汽車(00175)、東風汽車集団(00489)などの株価の先行きに対しても強気見通しを明らかにしている。