電力廃棄率の低下が支援材料、電力値下げ観測も利下げ効果がカバー

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00958 華能新能源股フン有限公司(フアナン・リニューワブルズ)  2.36 HKD
(11/10現在)
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風力発電部門の電力廃棄率(送電網に送られず、無駄に捨てられた電力の割合)は中国全土で上昇傾向にあるが、華能新能源に関しては15年1-9月に約9%と、15年上期の11.1%から改善傾向を示した。風力発電の電力価格値下げの可能性が高まる中、同社は15年、16年の設備導入目標をそれぞれ16.6%、15.4%の幅で上方修正。内モンゴル自治区ではUHV(超高圧)施設3カ所を建設中であり、うち1カ所が16年に稼働を開始する見通しとなった。BOCIは設備稼働時間数が16年にさらに上向くと予想。電力値下げによるマイナス影響は利下げ効果で十二分にカバーできるとみている。また、現在株価が16年予想PBR(株価純資産倍率)で1.0倍の水準にあることから、一段の下値余地は限られるとの見方。この先の政策支援がファンダメンタルズ、投資センチメントの両面から支援材料になるとみて、株価の先行きに強気見通しを継続している。

経営陣は11月9日にカンファレンスコールを実施し、以下の情報を明らかにした。まず政府当局による風力および太陽光発電の電力価格値下げに関しては、向こう5年にわたって1kWh当たり年間0.02元以下の引き下げペースになると予想。これにより、風力、太陽光の新規プロジェクトのレバレッジドIRR(借入れを前提とした内部収益率)がそれぞれ0.7-0.9ポイント、0.4-0.5ポイント低下する見通しを示した。ただ、風力に関しては電力廃棄状況の改善や利下げ効果、設備導入コストの低減を受け、電力値下げによるマイナス影響は十分相殺できるとしている。

一方、経営陣は電力値下げに備え、15年前半から新規の設備導入を加速。これに伴い、15年の導入目標を1.8GWから2GWに引き上げ、実際にはこれをさらに上回る見通しを示した。16年に関しては目標を1.5GW(うち0.2GWは太陽光)に設定している。 業界全体の悪化トレンドとは裏腹に、同社風力部門の電力廃棄率は改善したが、これは廃棄エリアと離れた同社の設備ロケーションが理由。経営陣によると、15年通期の廃棄率は9-10%となる見通しだ。一方、同社全体の10月の発電量は前年同月比20%増(風力は15%増)。風力、太陽光の設備稼働時間が5%、10%増加したことが寄与した。

また、政府補助金の受け取りが進み、キャッシュフローが改善したこともプラス。4月以降の新規融資利率は4.6-4.8%と、1年前から0.5ポイントほど低下した。経営陣は16年について財務費用の低減を見込み、風力、太陽光両部門の収益性改善を見込む。 BOCIは設備稼働時間数に関する15年、16年の想定値をそれぞれ5.8%、3.9%引き下げる一方、予想財務コストを5%、4.5%削減。さらに上方修正後の設備導入見通し(2.1GW、1.5GW)を加味した上で、15年、16年の予想純利益をそれぞれ6%、19.4%増額修正した。これに伴い、DCFモデルに基づいて目標株価を修正。16年予想PER11倍、同予想PBR1.3倍の水準に引き上げている。