乗用車販売の回復が鮮明、ニューモデル投入と政策支援で好調持続へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00489 東風汽車集団股フン有限公司(ドンフォン・モーター・グループ)  10.54 HKD
(10/12現在)
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東風汽車集団の9月の販売統計では、商用車の低迷が続く一方、乗用車の売れ行きが力強い回復傾向を示した。SUV販売の急成長が寄与した格好。傘下の主要合弁会社を見ると、東風ホンダと東風日産が乗用車市場全体を大きくアウトパフォーム(BOCIは乗用車全体の伸びを約3%と予想)。東風PSA(プジョーシトロエン)の販売減少幅も9月には縮小した。BOCIは中国政府による小型車減税の導入や相次ぐニューモデル投入(日産Murano、Qashqai、Lannia、ホンダGREIZなど)を受け、今後も日系合弁会社2社の主導の下、乗用車販売が力強い回復を維持すると予想。販売回復見通しと現在株価の値ごろ感を理由に、株価の先行き見通しを中立から強気に上方修正した。

9月の販売統計を見ると、同社全体の販売台数は前年同月比11.3%増。乗用車販売が同17.7%増を記録し、8月の同3.3%増、1-8月の前年同期比0.7%減から大きく加速した。対照的に、商用車販売は引き続き低調。各種貨物車需要の委縮を受け、9月に前年同月比23.5%減少した。1-9月の販売台数は全体で前年同期比2.5%減。乗用車が同1.3%増と、プラス成長を回復する半面、商用車は同22.2%の落ち込みとなった。

乗用車部門では価格や利益率が相対的に高いSUVの販売が急増し、製品ミックスが大きく改善した。14年下期以降の相次ぐニューモデル投入を受け、SUV販売は1-9月に前年同期比85.3%増を記録。同期の乗用車販売にSUVが占める割合は37%に上向いた(14年通期は21%)。中国自動車業界では第2四半期から価格競争が始まったが、BOCIは製品構成の高付加価値化が利幅低下圧力の軽減に寄与するとみている。

同社利益の8割強を占める主要合弁会社3社を見ると、東風ホンダの9月の販売台数は前年同月比151%増、1-9月では前年同期比21.9%増。東風日産は9月に18.1%増、1-9月では3.5%減。東風PSAの販売台数は9月に5.8%減だったが、減少率は6-8月に比べて縮小した。

中国政府は10月1日付で、排気量1600cc以下の小型車を対象に自動車取得税の減税措置(10%→5%)を導入したが、合弁会社3社の中では東風PSAに最大の恩恵が及ぶ見通し。東風PSAの販売台数に減税対象車種が占める割合は約71%で、東風日産は約57%。東風ホンダでは15%程度にとどまる見通しという。

BOCIは販売状況の急回復を受け、15-16年の利益見通しを3-4%増額修正した。政策支援下で自動車セクター全体の再評価が見込まれる中、同社の現在株価が15年予想PER6.5倍、16年予想PER6.0倍の水準にとどまる点を指摘。目標株価を引き上げ(15年予想PER8.0倍、16年予想PER7.4倍)、先行きに対する見通しを強気に上方修正した。リスク要因としては、新車市場全体の回復ペースが予想以上に鈍くなる可能性や、日中関係を取り巻く不透明感、ニューモデル投入の遅れや出足の低調などを挙げている。