10月8日
牛乳価格相場に薄日、国内原料乳価格は17年に回復か
ニュージーランドの全脂粉乳価格は国内供給量の減少傾向を受け、8月の底値水準から52%大きく反発した。また、中国の乳製品販売は夏休み効果で、8月に持ち直しの兆しを見せた。中国での需要はまだ本格的な回復には至っておらず、BOCIは世界の牛乳価格の上下動が当面続くとの見方。ただ、少なくとも一段の下落余地は限られるとみている。また、中国国内の原料乳価格については当面横ばいに推移した後、需給の引き締まりを受けて2017年に上向く可能性を指摘。個別では中国現代牧業控股(01117)、中国聖牧有機ダイ業(01432)、合生元国際控股(01112)を有望視している。
中国の乳製品生産量は8月に前年同月比9%増。それまで数カ月にわたって続いた一桁台前半の伸びが、8月になってやや上向いた。休日効果によるものとみられ、9月も回復傾向の持続が期待されるという。BOCIのリサーチによると、乳業大手のうち内蒙古伊利実業集団(600887)に関しては、15年末までに原料乳在庫を全面的に消化し、16年から再びミルクパウダーの在庫補充に動く見込み。ただ、中国蒙牛乳業(02319)、中国旺旺控股(00151)、杭州娃哈哈(Wahaha)など、その他主要メーカーの原料乳在庫は依然高水準にあり、業界全体の原料乳需要が回復したと見るのは時期尚早という。
BOCIは中国国内の原料乳需要を反映する乳製品生産量に目を向け、同生産量が15年、16年、17年に前年比4%、1%、3%の伸びを示す見通しを示した。16年の予想伸び率が小さいのは、15年10月1日付で国産乳児用粉ミルクに関する規則が強化されたため。一方、供給サイドでは在庫処理の必要性から、乳固形分輸入量が15年、16年に前年比37%、5%落ち込み、17年にようやく5%のプラスに転じると予想。この3年間にわたって、国内の原料乳供給量が横ばい推移する見通しを示した。その結果、原料乳の余剰分は15-16年に縮小し、17年には需給均衡が期待できるとしている。
ニュージーランドでの供給量が減少傾向に転じたが、原料乳価格の本格的な底入れには継続的な需要の伸びが不可欠。その兆しはまだ見えない状況にある。牛乳価格はここに来て反発したが、BOCIは当面、価格の上下変動が続くと予想。ただ、下落基調がこれ以上続く可能性については否定的な見解を示した。ニュージーランドが中国の乳固形分輸入に占める割合は50%超、ミルクパウダー輸入に占める割合は約80%。同国の原料乳価格の底入れが、心理面から中国の原料乳相場にプラスに働く可能性にも言及した。
原料乳価格の安定化は中国蒙牛乳業や中国聖牧有機ダイ業などの酪農銘柄にプラス。BOCIはまた、こうした酪農銘柄のブランド牛乳ビジネスの成長を前向きに評価し、ハイエンドのUHT(超高温殺菌)牛乳への消費アップグレードを加速させる見通しを示した。うち中国蒙牛乳業の株価の先行きに関しては中立見通しを示し、合生元国際控股に関してはサプリメントビジネスの買収によるプラス効果を予想している。
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