輸出不振も国内向けが好調、小型車減税による販売増に期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00175 吉利汽車 (ジーリー・オートモービル)  3.96 HKD
(10/08現在)
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吉利汽車の9月の販売台数は季節要因で前月比32.8%増の4万2158台を記録したが、前年同月比では8.0%増だった。うち国内向けは比較対照値の高さにもかかわらず、前年同月比20.6%増と引き続き好調。中でも新型のBクラス「GC9」が過去最高の4130台を記録した。BOCIは前年同期実績の高さを理由に、向こう3-4カ月にわたる販売伸び率の減速を見込みながらも、ニューモデルの投入効果や政府当局による小型車減税を理由に、続く2016年の販売成績を楽観。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

9月の月次販売統計を見ると、輸出台数は前年同月比84.2%減(前月比57.8%減)のわずか737台と、ここ数年で最悪の数字となった。対照的に、国内向けは同20.6%増(前月比38.0%増)と好調。1-9月の累計販売台数は前年同期比29.6%増で、うち国内向けが同46.7%増の33万2304台、輸出が同51.5%減の2万2059台だった。

9月の販売増に寄与したのは2つの主要モデルで、うち新型「New Vision(新遠景)」の販売台数は前年同月比548%増の1万925台。もう一つの「GC9」の月間販売台数も4000台を上回り、「年末までに月5000台」とするBOCIの予想に近づいた。一方、主力の「EC7」の販売台数は、前年実績の高さもあって同10%減。BOCIは16年下期に予定される新世代型「EC7」の発売まで、現行モデルの販売減が続く可能性を指摘している。

中国政府は15年10月1日-16年12月31日の期間限定で、排気量1600㏄以下の小型車を対象とした自動車取得税の減税措置(税率10%→5%)を導入した。BOCIによると、吉利汽車の販売台数に対象車種が占める割合は80%を超えており、減税措置による恩恵が十分期待できるという。同社の小型車の多くは同時に、エコカー補助金制度の対象ともなっている(1台当たり補助金3000元)。

同社は向こう12カ月以内に、少なくとも5種の新型車を投入する見込み。SUVが2種(NL-3とNL-4)とクロスオーバータイプが1種、ほかに新型「EC7」と電気自動車がこれに含まれるという。 BOCIが示した15年通期の予想販売台数は前年比19%増の50万台。年初からこれまでの販売状況は目標を達成できるペースとなっている。一方、16年に関しては小型車減税による販促効果を見込み、通期予想を58万台から59万5000台に上方修正した。

これに伴い利益見通しを見直し、16年通期に関しては3%増額修正。同時に16年予想PER10倍をあてはめ、目標株価を引き上げた。一方、BOCIは同社の潜在リスクとして、ニューモデル投入の遅れ、不利な形での為替相場の変動、輸出の予想以上の悪化などに言及している。