「小型車減税」で最大の恩恵、16年に向けて販売加速へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02333 長城汽車 (グレートウォール・モーター)  7.15 HKD
(09/30現在)
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中国当局が導入した自動車市場へのてこ入れ策について、BOCIは長城汽車に最大の恩恵が及ぶとみている。この支援措置は排気量1600cc以下の小型車を対象に、自動車取得税を10%から5%に引き下げる内容だが(2015年10月1日-16年12月31日の期間限定)、同社の販売台数全体に占める減税対象車種の割合は82%。ピックアップトラックを除外して乗用車に限ると94%の高率に上る。また、同社が強みを持つSUVは同じ排気量のセダン車に比べて高めの価格設定となっており、BOCIはこの点から、新たな減税措置がセダンよりSUVの販促につながると予想。政策支援効果を加味した上で、同社の16年の利益見通しを上方修正し、目標株価を引き上げた。現在株価の低バリュエーションに言及し、株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げている。

BOCIによれば、同じく小型車減税が行われた2009-10年当時とほぼ同様に、今回のてこ入れ策も新車市場の底上げに寄与する見込み。第4四半期には乗用車販売がU字回復を示し、16年まで成長の勢いが続く見通しという。

国内全体の15年1-7月の乗用車販売統計を見ると、1600㏄以下の小型車が占める割合は68.5%。セグメント別では、ミニバンで99.4%、MPVで82.8%、セダンで74.7%に上る半面、SUV部門ではこの割合が43.0%にとどまった。ただ、長城汽車の場合、SUVの販売比率が高いとは言え、「H6」「H2」を含む主力車種は軒並み、減税対象となる小型車クラス(1.5t)。1600ccを超える車種は「H8」「H9」「C6クーペ」に限られている。

小型車減税を受け、BOCIは同社の16年通期の予想販売台数を85万台から88万台に上方修正。減税措置が終わった後の17年に関しては反動減を見込み、予想台数を90万5000台へ小幅に引き下げた。

BOCIはまた、小型車減税のプラス効果を理由に16年の予想純利益を3.4%増額修正し、17年に関しては1.1%の小幅の減額修正を実施した。現在株価が15年予想PER5.7倍、16年予想PER5.0倍にとどまることに言及し、目標株価を16年予想PER8.0倍の水準に引き上げている。一方、同社の潜在リスク要因としては、減税による販促効果の予想下振れや、SUV市場での競争激化、過当激化を受けた利幅低下、ニューモデル投入ペースの減速――などの可能性を指摘している。