ベンツ合弁事業の好調で14年上期に22%増益、北京現代と自社ブランドが苦戦

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01958 北京汽車股フン有限公司 (ビーエーアイシー・モーター)  6.21 HKD
(08/27現在)
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北京汽車の2015年6月中間決算は、純利益が前年比21.9%増の22億元と、BOCIの予想を下回った。現代自動車との合弁会社である北京現代の利益貢献が予想を下押ししたことや、自社ブランド事業の赤字が原因。その一方で、ベンツ合弁事業の北京ベンツは新型モデル(新型CクラスやGLAなど)の投入やユーロ安を受けて好調。採算性の改善と同時に、売り上げの伸びが鮮明だった。BOCIは北京ベンツの好調が15年下期、16年も続くとみる半面、北京現代と自社ブランド車については慎重見通しを示し、その理由として価格競争の激化や競争力の高い新型モデルの不足を挙げた。また、15-17年の予想EPSをそれぞれ20-24%下方修正し、新たに0.57元、0.66元、0.80元に設定。これに伴い目標株価(16年予想PER9倍)を引き下げたが、株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。

北京ベンツの販売台数は15年上期に前年同期比59.8%増の10万3034台。競合のBMWやアウディ(いずれも合弁)の販売台数が伸び悩む中で急成長を記録した。また、北京ベンツの純利益は170.6%増の26億元で、純利益率は8.9%(14年上期に5.0%、14年通期に5.6%)。設備稼働率の改善とスケールメリットの拡大以外に、ユーロ安が利益率改善に寄与した。輸入原材料の調達コストが低減しただけでなく、上期に為替差益3億9900万元を計上している(第1四半期に6億元強の差益、第2四半期に2億元強の差損)。BOCIは人民元相場の先安観からヘッジの必要性を指摘。為替相場の変動リスクに言及しながらも、北京ベンツのコア利益が15年下期、16年も力強い成長を維持するとみている。

一方、北京現代の販売台数は上期に前年同期比7.7%減の51万276台にとどまった。上期純利益は30%減の39億元と予想を下回る水準。純利益率は前年同期の10.2%から8.1%に後退した。マスマーケットの価格競争激化を受け、BOCIは北京現代の純利益率が過去数年間の水準(9-10%)を回復するのは難しいとの見方。販売不振と利幅低下を受け、北京現代の15-16年の予想純利益をそれぞれ74億元、75億元に減額した。

自社ブランド車種の上期の販売台数は予想を下回る前年同期比3.4%減の14万8512台。既存モデルの売れ行き悪化と同時に、X65など新型モデルの販売の伸び悩みが下振れ要因となった。製品ミックスの優良化で22.1%の増収を確保しながらも、値下げ販売が響いて原価割れが続き、上期の粗損失は9.7%に拡大している(前年同期は粗損失3.3%)。ただ、自社ブランド車の中では新エネルギー車が例外的に急成長を遂げており、上期の販売台数は早くも14年通期実績(6193台)を上回る6216台。また、新エネルギー車に対する政府補助金が前年同期の3500万元から5億3200万元に急増したことが寄与し、自社ブランド部門の純損失は前年同期の14億元から10億元に縮小した。