広告収入が好調、モバイルゲームの収入増で15年下期に成長加速へ

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00700 騰訊控股(トウジンコウコ)   134.90 HKD
(08/13現在)
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テンセントの2015年4-6月期決算は事業別に好不調まちまちの内容となった。売上高は234億元と、市場コンセンサスを2.5%下回る水準。純利益は市場予想を5.4%上回る80億元(非GAAP)だった。15年下期について、BOCIは再び収益成長が加速すると予想し、その理由としてモバイル広告、動画広告の力強い伸びや、ここ2カ月で新たなモバイルゲームの投入に成功したことなどを挙げた。目標株価を引き下げながらも、同社株価に対する強気見通しを継続している。

4-6月期にはオンライン動画広告収入、成果報酬型広告収入がそろって前年同期比倍増した。その一方で、利用者の嗜好の変化を受け、モバイルゲーム収入が前期比2.3%増と伸び悩み、PCゲーム収入は前期実績を下回った。ただ、社内ゲーム部門やモバイル広告部門のコスト削減やマーケティング費の低減が寄与し、同期の営業利益率は42.8%と、前年同期比で3.1ポイント改善している。

モバイルゲーム部門は、7月、8月と連続で、新たな旗艦ゲーム『 HYPERLINK "https://en.wikipedia.org/wiki/The_Legend_of_Mir_2" The Legend of Mir 2』 と『King of Fighters』の投入に成功した。この2タイトルはいずれも人気PCゲームのモバイル移植版。続いて『Dungeon & Fighter』(日本語名:アラド戦記)など、テンセントが自社保有する人気クライアントゲームのモバイル版も、向こう数四半期内に投入される運びとなっている。BOCIはまた、カジュアルゲームのHTML5モバイルウェブページの改装についても、長期的にはプラスになるとの見方だ。なお、中国のiOSゲームランキング上位10タイトルのうち、テンセントは5つを占める。BOCIは同社のモバイルゲーム収入が7-9月期に48億元に上ると予想。PCゲーム部門についても新規タイトルの投入を受け、下期の堅調を見込んでいる。

一方、広告部門は力強い伸びを維持する見込み。BOCIによると、「モバイルQQ空間」「微信」のオフィシャルアカウントや「テンセントビデオ」が短期的な広告収入の急増に寄与し、「微信朋友圏」(Weixin Moments)などその他フォーマットが長期成長を支える見通しという。オフラインとオンラインとの融合を意味するO2O分野においては、同社は事業者支援やオープンプラットフォームの活用を継続する見込み。BOCIは短期的な投資損失計上を予想する半面、利益率の回復トレンドが続くとみている。

4-6月期の決算発表を受け、BOCIは15年通期の予想純利益を従来比1.4%増の316億元に引き上げ、16年に関しては2.2%減額の405億元に設定した。16年予想PER32.5倍をあてはめて目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。なお、レーティング見直しにつながる可能性がある同社の潜在リスクとして、BOCIはモバイルゲームやクライアントゲーム事業の予想外の減速や、コンテンツコスト、マーケティング費、O2O投資損失の予想以上の増大を挙げている。