6月23日
携帯加入件数は4-5月に純減、4Gサービスが焦点に

BOCIは通信セクターに対する強気のレーティングを維持した。キャリア3社の2015年5月の業務統計を受け、注目ポイントとして以下の3点を指摘している。

(1)携帯サービス加入件数が4月、5月に純減に転じた。3月の424万件の純増が、4月には100万件の純減に転じ、5月も63万件の純減。携帯端末の総加入数はこれで、12億9900万件、12億9800万件、12億9700万件と推移した。キャリア別では、チャイナ・ユニコム(00762)が5月に191万件の純減。チャイナ・モバイル(00941)とチャイナ・テレコム(00728)はそれぞれ37万件、91万件の純増だった。

(2)3G、4Gを含むモバイルブロードバンドの加入純増数は5月に1336万件と、健全なレベルを維持したが、3月にFDD-LTEの事業免許が発給されたタイミングであるにもかかわらず、6カ月平均の月1610万件を下回った。BOCIはこれが、キャリア3社間の競争環境が緩やかであることを示唆しているとの見方。販売・マーケティング費の低減を背景とした利益率の回復トレンドが続くとみている。

(3)モバイルブロードバンドの加入増を支えたのは4Gの加入者数の伸び。工業情報化部(MIIT)の統計を見ると、中国国内の携帯端末販売台数は4月に4500万台で、うち84%が4G対応機種(3Gは5.4%)だった。4Gのサービス料金値下げもあり、4月以降のモバイルブロードバンド加入純増数の大半を4Gが占めたとみられる。ただ、今のところ、キャリア3社のうちチャイナ・テレコムとチャイナ・ユニコムは4Gサービス限定の加入者数統計を公表していない。

個別銘柄では、BOCIは引き続きチャイナ・テレコムを選好している。力強い運営状況が理由。3月のFDD-LTE免許の取得に伴い加入純増数シェアが改善し、モバイルブロードバンドの市場シェアも上向いた(4月に31%、5月に15%)。

一方、チャイナ・モバイルは引き続き、モバイルブロードバンド市場で独走状態にあり、5月の純増数シェアは79%に上向いた。4G加入件数も5月に1720万件の純増。ただ、2G、3G、4Gを含む携帯全体では、5月の純増数はわずか37万件。同社の売り上げ成長が新規加入者の取り込みではなく、ほぼ全面的にARPU(加入者1人当たり月額収入)の安定化に依存している現状が示唆された。

チャイナ・ユニコムの携帯加入件数は5月に191万件の純減。これで4カ月連続の純減となった。BOCIは携帯市場の焦点が4Gサービスに移ったことで、同社にとっては厳しい環境が続くとの見方だ。ただ、合併、業界再編に関する観測がチャイナ・ユニコム株の支援材料。また、キャリア3社が共同出資する通信施設運営会社、通称「鉄塔公司」の再評価に関する新たな情報開示も、この先、同社の支援材料となる可能性が高いという。