住宅市況回復を背景に深センの再開発プロジェクトが好調、下期も好調持続へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03377 遠洋地産(シノ・オーシャン・ランド・ホールディングス)  5.33 HKD
(06/22現在)
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BOCIは遠洋地産の開発プロジェクト(深セン5カ所と成都)を視察した結果、同社の長期成長見通しを改めて確認したと報告している。不動産市況の回復を主導している大都市部の事業ウエートの高さや、低コストで取得した分譲資源を豊富に持つことなどが理由。住宅市況が低迷した2014年に、開発用地の取得に動いたことが寄与したという。BOCIは最近の調整を受け、同社株価が15年予想PBR(株価純資産倍率)で0.7倍、対予想NAV(純資産価値)比で58%のディスカウント水準にあると指摘。目標株価を据え置いた上で、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

深セン市では現在、延べ床面積換算で約100万平米のプロジェクト5件が進行しており、その多くが市内の再開発。大半が蛇口、龍崗地区に位置し、うち2件はすでに予約販売を開始した。残る3件も近く分譲が始まる運びという。同社は深セン市で存在感を強めている主要デベロッパーの1社であり、同市の住宅市場の力強い回復が追い風。例えば「水湾1979」プロジェクト(蛇口自由貿易区内)では、平均分譲価格と成約額がそろって急上昇している。平均販売価格は年初の1平米当たり5万-6万元から8万元へ、すでに30%を超えて上昇。成約額も予想以上に好調で、1-5月時点で同物件の通期販売目標を早くもクリアしたという。下期も既存物件の新期開発分の分譲が続く可能性が高く、BOCIは深センでの成約額が予想を上振れる可能性を指摘している。

深センではさらに、延べ床面積計300万平米の再開発プロジェクトをめぐって協議中。同社の深セン事業経営チームは過去10年間にわたり、再開発分野で豊富な経験を持つ。既存の再開発プロジェクトの成功も現地関係者とのさらなる関係強化を促し、結果的に新規プロジェクトの加速につながる可能性が高い。

BOCIは今回、15年4月にオープンした四川省成都の商業施設「遠洋太古里」も視察した。この施設はショッピングモールの延べ床面積で約25万平米規模。1600年の歴史を持つ市中心部の寺院、大慈寺を囲むように低層のストリート型のモールを配置し、買い物だけでなく、観光、レジャー需要を取り込む狙い。実際、独自のストリート型建築はテナントから好評を博し、従来型モールに比べて契約状況も好調で、このため賃料も高めに設定されており、BOCIの調査によれば、平均賃料は1平米当たり月額およそ600元、マネジメント料が同133元。米ジュエリーブランドのティファニーも600平米のスペースを借りたという。BOCIは「遠洋太古里」プロジェクトを高く評価した上で、経営陣が設定した2020年の賃料収入目標(35億-40億元)は達成可能とみている。

同社はこのほか、北京市通州区に約500万平米の土地開発プロジェクトを保有する。BOCIは首都経済圏構想「京津冀」を背景とした通州区の今後の発展を見込み、同プロジェクトの高い潜在力に言及している。