6月18日
風力設備導入量は1-5月に前年並み、地理的多様化で発電機需要を楽観

中国の風力発電セクターの設備稼働時間数は、5月に前年同月比10%減の平均185時間にとどまった。1-5月では前年同期並みの平均857時間。稼働時間数は全国的な回復は見られなかったが、上場風力発電各社が設備の大半を置く東北部と内モンゴル自治区で増加。上場銘柄の2015年上期決算の押し上げに寄与する見通しとなった。一方、1-5月の新規設備導入量は前年同期比ほぼ横ばいの7.4GW。ただ、地域的な多様化が進行し、特に非供給制限エリアでの新規導入が進んだことが朗報となった。BOCIはこれで、16年の風力設備需要の急減という市場の懸念が払しょくされたとみている。また、業態別では引き続き風力発電機メーカーに対して強気見通しを示し、個別では新疆金風科技股フン(02208:シンジャン・ゴールドウインド)をトップピック銘柄とした。一方、太陽光発電セクターに関しては、多結晶シリコン価格の一段の軟化とウエハー価格の安定を予想。保利協キン能源控股(03800:GCLポリー・エナジー)の過度の調整を指摘し、同社株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

中国電力企業連合会(CEC)によると、国内の風力発電量は5月に前年同月比9.8%増、1-5月では前年同期比22.7%増。ただ、主に江蘇省、新疆ウイグル自治区、貴州省、甘粛省の低迷で、稼働時間数は5月に10%減、1-5月に0.7%減だった。

1-5月の新規設備据え付け量(送電網への接続)は前年同期比0.8%減の7.4GW。寧夏回族自治区(1.1GW)、甘粛省(897MW)、内モンゴル自治区(624MW)、江蘇省(593MW)、雲南省(588MW)が上位だった。全体の据え付け量はほぼ前年並みだったが、非供給制限地域での導入が1年前より増加。新規設備の設置量では内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区、河北省などが上位だったが、ほかに江西省、広東省、湖南省、四川省など新規エリアでの設置が進んだという。市場はこれまで、「電気料金引き下げの最終期限(15年12月31日)に向け、供給制限地域で据え付けラッシュが起きる」とみていたが、実際の設置状況は予想とは異なる状況。市場はまた、15年の据え付けラッシュを受けた16年の設備需要の急減を懸念していたが、BOCIはこうした懸念は当たらないとの見方。風力発電機メーカーに対して強気見通しを継続している。

一方、太陽光発電セクターでは川上製品の価格相場が引き続き軟調で、多結晶シリコンおよび太陽電池の直近価格は1kg当たり15.35米ドル、1ワット当たり0.236米ドルと、前週比でそれぞれ1.48%、1.0%下落した(PVインサイト調べ)。モジュールおよびウエハー価格は前週並みの1ワット当たり0.55米ドル、0.196米ドル。BOCIは保利協キン能源控股などの新規設備稼働に伴う多結晶シリコン価格の一段の軟化を予測し、同15米ドルを割り込む見通しを示した。ただ、個別では保利協キン能源について売られすぎとの見方。その理由としてウエハー価格の相対的な安定感を指摘している。