15-17年の利益見通し増額修正、精製・化学部門の採算性改善

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00857 中国石油天然気(ペトロチャイナ)  8.63 HKD
(06/17現在)
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BOCIはペトロチャイナの石油実勢販売価格に関する2015-17年の想定値を1バレル当たり3.6-4.6米ドル引き上げた。販売価格と主要ベンチマークとの格差が縮小しつつあることが理由。また、同社の石油精製・化学部門が4月に黒字転換したことを指摘。15年、16年、17年の利益見通しをそれぞれ46%、13%、6%増額修正した。同社A株については上値余地が限られるとの理由で従来の強気見通しを中立的に引き下げたが、H株に関しては逆に、従来の中立見通しを強気に引き上げている。

ペトロチャイナの石油実勢販売価格は15年第1四半期に1バレル当たり49.75米ドルと、前年同期比50%下落したが、ミナス原油(ベンチマーク)に対するディスカウント率は同3.7米ドルと、09年第1四半期以来最も小幅となった(過去4四半期の平均値は同9.0米ドル)。原油相場の下落に加え、アルジェリアおよびカナダの新規プロジェクトの稼働に伴う海外生産量の増加などが、ベンチマークへの接近に寄与したという。海外の原油生産量は第1四半期に前年同期比37%増加し、全体に占めるウエートは1年前の12.6から16.8%に上昇。BOCIはこれを受け、15-17年の予想実勢価格を1バレル当たり3.6-4.6米ドルの幅で上方修正した。

一方、川下の石油精製・化学部門の採算性もここに来て改善している。原油調達コストの低下が部門業績に反映され始めたため。高コスト在庫の悪影響が消え、同部門は4月に黒字化した。また、主要石油製品が4月半ば-5月半ばに3度にわたって値上げされたことも、第2四半期の採算性改善に寄与する見通しとなった。

経営陣は当初、15年の設備投資計画を前年比9%減の2660億元に設定していたが、国際原油相場の低迷を受け、2270億元へさらに15%削減した。15年の実勢販売価格を1バレル当たり55米ドルと想定したのに伴う措置。BOCIによれば、最新の設備投資計画は新たな銀行借入れなしに設備投資や配当金支払いを実施できるほどの低額であり、一段の財務改善が期待できるという。

同社の潜在リスクの一つは天然ガス価格の引き下げ。石油、石炭といった他資源の価格下落を受け、国家発展改革委員会は15年下期にも非住宅向け天然ガス価格の引き下げに動く可能性がある。現状では1立方メートル当たり0.63元(25%)の大幅値下げが行われる恐れもあるが、BOCIは輸入LPGおよび燃料油価格の4月比の回復を見込み、実際の値下げ幅はより小幅にとどまるとみている。

BOCIは15-17年の利益見通しを増額修正し、精製・化学部門の採算性改善見通しを示しながらも、石油・ガス埋蔵量に関する最新情報を受け、同社の1株当たり予想NAV(純資産価値を)を11.7HKドルに下方修正。目標株価を引き下げながらも、H株株価の最近の調整を挙げ、株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げた。