販売好調持続へ、非中核ブランドが長期成長に寄与

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00973 L'Occitane International S.A.(ロクシタン・インターナショナル)  22.95 HKD
(06/02現在)
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ロクシタンの2015年3月通期純利益は前年比37.0%増の1億2200万ユーロと、BOCIの予想を6%下振れた。主に財務費用と税額が予想より膨らんだためで、営業利益はほぼ予想通りの水準だった。同期の好決算に寄与したのは日本、中国の両市場や、オンライン通販部門であり、BOCIは今後も成長の勢いが続くとの見方だ。新製品投入効果やスキンケアおよびフレグランス製品の貢献で、この先の利益率についても楽観見通しを示している。また、「メルヴィータ」「エルボリアン」両ブランドの新店舗開業が長期成長に寄与すると予想。目標株価を小幅に引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを据え置いている。

市場別の売上高を見ると、まず日本の15年度第4四半期(1-3月期)の自律成長率は前年同期比5%。消費税増税前に当たる前年同期実績が高かったにもかかわらず、「メルヴィータ」や新製品の寄与で安定増収を確保した。また、中国本土では小売部門などの好調で2桁の自律成長(22%増)を維持した。一方、BOCIは香港市場の先行きについて、旅行客数の低迷を理由に慎重。ただ、日本、韓国市場における旅行者消費の伸びが、香港市場の苦戦をある程度カバーするとみている。

15年3月通期の粗利益率は前年を0.7ポイント上回る81.8%。営業利益率は同1.3ポイント高の13.9%だった。平均販売価格(ASP)の上昇やスキンケアおよびフレグランス製品の貢献度の高まりが背景。同社は期中に、ロシアや米国、ブラジルなどの複数市場で一部製品価格の引き上げを実施した。BOCIは力強い製品需要や価格決定力の高さを理由に、今後もASPの上昇トレンドが続くとみている。

経営陣は16年度に80-100店舗を出店する計画。BOCIは「メルヴィータ」「エルボリアン」について20-25店舗の開業を予想している(うちオーガニック化粧品ブランドのメルヴィータは日本で10店舗、中国で10-12店舗)。過去12カ月間の販売増に関しても、両ブランドの出店再開が寄与したとの見方だ。中でも「メルヴィータ」の15年度の既存店売り上げは日本で前年比40%増を達成し、フランス、中国でも上向きに推移した。BOCIは前年実績の低さや製品構成の最適化を受け、今後もこの勢いが続くと予想。長期的には非中核ブランドの売上構成比が40-50%に達するとみている。

BOCIによると、レーティング見直しにつながりかねない潜在リスクは為替相場の変動や、予想を超える営業コストの増大、非中核ブランドの苦戦など。ただ、今回の決算発表を受け、予想純利益を増額修正。予想PER27倍(世界の同業銘柄と同水準であり、同社のヒストリカル12カ月フォワードPER並み)をあてはめて目標株価を小幅に引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。