6月1日 
参入障壁の高まりで業界統廃合が進行、付加価値サービス対応の大手が有利に

中国のテキスタイル業界では、機能性素材の生産やデザイン力の向上、リードタイム(発注から納品までの時間)の短縮、品質向上などに関する海外取引先からの要求を受け、構造的な変化が進行している。技術レベルの進歩やインフラ投資基準の向上で参入障壁が高まり、業界統廃合が進んでいる状況。BOCIはこうした中、◇事業拡大余力、◇研究開発やデザインなどの付加価値サービスの展開、◇大口取引先との緊密な関係、◇効率や柔軟性に優れた複数生産基地体制――などの条件に合致するOEM(相手先ブランド製造)銘柄を有望視。申洲国際集団(02313)の株価の先行きに対して強気見通しを示した。スポーツウェア、機能性ウェアの急成長による同社への恩恵を見込んでいる。一方、互太紡織(01382)の株価の先行きに関しては中立見通しを示している。

BOCIによると、中国のテキスタイル業界では引き続き、大手のシェアが拡大する見込み。技術レベルの高さや、世界の小売事業者による高品質製品需要の高まり、さらに中国や東南アジアなど主要生産地の環境問題、人件費高騰を受けた非採算企業の撤退――などがその背景にあるという。利益率の維持を目指す形で国内業界の勢力図やバリューチェーンは変わり始めたが、こうした現状を追い風にできる企業として、BOCIは主に以下の3タイプを挙げている。◇ワンストップ型サービスプロバイダー、◇デザイン力を持つODM(相手先ブランド設計・製造)メーカー、◇特殊糸/布地メーカー。

一方、グローバル市場では消費者の健康志向の高まりを背景に、スポーツウェアおよび機能性ウェアの需要が高まっている。BOCIは特に、女性向け市場の成長潜在力を指摘。既存の大口顧客(多国籍企業など)との緊密な関係が長期成長のカギを握るとしている。

海外大手ブランドの多くは人件費高騰や人民元高を受け、すでに中国からカンボジア、ベトナムなどの東南アジア諸国に一部生産拠点を移転した。カンボジア、ベトナムなどの生産性は通常、中国を20-50%下回るとされるが、投資の継続に伴い、生産性格差も段階的に縮小する可能性が高いという。

BOCIはテキスタイル銘柄の2015-17年の利益成長率が年率平均17%に達するとみており、この予想に基づく現在株価の15年予想PERは21倍、16年予想PERは18倍(加重平均)。今後は事業拡大余力を持ち、付加価値サービスを提供することが可能で、かつコスト管理力の高い企業がバリュエーション面で抜け出す見通しという。一方、技術レベルの低い小規模企業は長期的に苦戦を余儀なくされる可能性が高い。

セクター全体の潜在的なプラス材料は、生産基地の新設、新規の取引先開拓、低価格原材料の開発などが予想以上のペースで進むこと。逆にレーティング引き下げにつながりかねない潜在リスクとして、BOCIはグローバルブランドの成長減速や原材料価格の高騰を挙げている。