第2四半期に業績回復見通し、長期的にはガソリン品質基準の強化がプラス

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00386 中国石油化工(シノペック)  7.17 HKD
(05/26現在)
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BOCIはシノペックの訪問リサーチを行った結果、同社の採算性が2015年第2四半期に大きく改善したことを確認したと報告している。高コスト在庫の消失や石油製品値上げを受けた精製部門の利益率改善が背景。長期的にはガソリンおよび軽油の品質基準のさらなる強化(特に一般軽油製品)が追い風となる見通しという。BOCIは同社H株、A株の先行きに対して強気見通しを継続している。

第2四半期の大幅な業績回復が期待される最大の要因は、前期から持ち越す新たな高コスト在庫がなくなったこと。また、原油相場の回復を受け、国家発展改革委員会(NDRC)が4月半ば以降3度にわたって主要石油製品の値上げを実施したことも、利益押し上げに寄与する見込み。輸入原油の調達価格の上昇が反映されるまでにはタイムラグがあり、第2四半期の精製部門の利益率は通常時を上回る見通しという。

また、中国の石油精製最大手である同社には、ガソリン、軽油の品質基準強化による恩恵が及ぶ。最近では一般軽油の品質基準引き上げに向けたタイムテーブルが発表され、今後は国内市場から低価格の低品質製品が消える見通しとなった。また、北京ではガソリン、軽油向けの「北京6」基準の策定プロセスが進行しているが、これは国基準「国6」策定の基準となる可能性が高い。

一方、天然ガスパイプライン事業では最近、重慶フウ陵(Fuling)のシェールガス・プロジェクト現場と「川気東送」(四川省産出の天然ガスを東部地域に送る大型パイプライン)との接続を完了した。主要消費地への輸送ラインを確保したことで、今後はシェールガス生産量が増える見通しとなった。同社の天然ガス生産量は第1四半期に前年同期比わずか2%の伸びにとどまったが、経営陣は15年通期の生産目標を「前年比24%増」に設定している。 新疆ウイグル自治区-広東省-浙江省の天然ガスパイプラインに関しては現在、環境アセスメント(環境影響評価)が進行中。ただ、ガス需要の低迷を受け、同パイプラインの建設時期はある程度先送りされる可能性も出ている。 BOCIは品質基準強化にもかかわらず、需要萎縮を受けてガソリン、軽油の値上げが難しくなる可能性や、国際原油相場の急落の可能性などを潜在リスクに挙げながらも、同社株価の先行きに対して強気。H株株価を15年予想PBR(株価純資産倍率)1.3倍の水準に据え置いた。一方、A株に関しては、3カ月平均AH価格差に基づいて目標株価を引き上げた。同社のAH価格差は31%と、BOCIが前回リポートを発行した4月後半の27%から拡大した。