ネット通販大手・京東との戦略提携を評価、向こう10年間の発展のカギに

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02607 上海医薬集団股フン有限公司(シャンハイ・ファーマスーティカルズ)  26.90 HKD
(05/18現在)
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上海医薬集団はこのほど、中国のネット通販大手の北京京東世紀貿易有限公司(京東:JD.com)と包括戦略提携に合意したと発表した。主な合意内容は以下の通り。◇処方薬のオンライン販売分野における独占パートナーシップ、◇OTC薬(市販薬)および医療サービスのオンライン販売分野における全面協力、◇先進プラットフォーム構築に向け、共同で上薬雲健康(Shanghai Pharmaceutical Healthcare Cloud:SPHC)の増資を実施し、資源を追加提供、◇SPHC経営陣向けのインセンティブ制度の導入――。BOCIは政府当局がこの先、処方薬のネット販売に関する政策を発表する見通しに触れ、今回の戦略提携を高く評価。京東のオンライン処理能力、物流能力の高さが上海医薬集団の競争力強化につながる見通しを示した。また、同社の目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

両社の合意によれば、京東は上海医薬集団に不足が生じた際、オンライン処理能力やオフラインの物流能力を提供する。BOCIはSPHCへの共同投資やインセンティブ計画に関する詳細数字が未公表であることに言及しつつも、この提携が幅広く利益に合致すると評価。特に処方薬のネット販売分野で、上海医薬集団の競争力強化につながる見通しを示した。

BOCIは医薬品のネット販売政策がこの先発表された後に必要となる業務能力やシステムに着目し、オンライン側、オフライン側でそれぞれ4点を指摘した。まずオンライン側で必要となるのは、◇オンライン処理能力およびITサポート、◇電子処方システムおよびITサポート、◇医薬品販売向けのビッグデータシステム、◇潜在顧客に関するビッグデータシステム――。このうちオンライン処理に関しては京東サイドに備えがあり、残る3点についてはこの先、SPHCを通じた構築が進む見通しを示した。一方、オフライン側の4点は◇工場から倉庫までの川上物流、◇倉庫から病院/ドラッグストアへの物流、◇潜在顧客の要求に応えられるだけのドラッグストアの確保、◇顧客の手元に届けるラストワンマイルの配送――。こちらに関しては、上海医薬集団が最初の3点、京東が最後の1点に対処可能であるとし、両社提携により所要能力がほぼ備わったと指摘。GSP(医薬品経営品質管理規範)認証を受けやすくなったとみている。

また、京東側の関与についてさらなる情報の提供が求められるとしながらも、この提携モデルを適切と評価。上海医薬集団にとっては向こう10年間の発展のカギとなるとみて、提携関係の良好なスタートが同社のバリュエーション向上にもつながる見通しを示した。この先のレーティング見直しにつながりかねない潜在リスクとして、処方薬ネット販売に関する政策発表がいつになるか不透明である点を指摘しながらも、2015年予想PER22.5倍をあてはめて目標株価を引き上げ、強気見通しを据え置いている。