資産再編を完了、15年下期以降に成長局面入り

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03377 遠洋地産(シノ・オーシャン・ランド・ホールディングス)  6.12 HKD
(05/11現在)
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遠洋地産(03377)は過去数年にわたる厳しい資産再編をほぼ完了し、この先、収益成長期を迎える見通しとなった。同社は不動産市況が過熱期にあった2009-10年に大量の開発用地を高値で取得し、その後、利益率や資産回転率の低下、負債比率の上昇といった問題に直面。開発プロジェクトの処理を迫られ、13年には取得用地面積をわずか50万平方メートル(延床面積換算)に抑えた経緯があった。ただ、続く14年には290万平米分のプロジェクトを手放す半面、710万平米(権益換算で370万平米)を新たに取得。平均分譲価格の上昇が期待できる15年下期-16年向けに、十分な低価格資源を確保した。また、14年の取得用地のうち9割は一線都市部(4大都市部)。14年11月に三線都市(撫順、鎮江、秦皇島など)の開発プロジェクトの大半を一括売却したことで、一線都市の事業資産のウエートは香港上場の大手・中堅デベロッパーの中で最大となった。BOCIは目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを維持した。

BOCIによれば、14年の三線都市のプロジェクト売却後、総資産価値に占める三線都市の割合は7%に低下。一方、一線都市の割合は44%に上向き、時価総額300億HKドル超の本土系デベロッパーの中で最大となった。仮に投資不動産を含めれば、一線都市の比重は50%を超えるという。中国では大都市の住宅市況が相対的に堅調であり、BOCIによると、15年には一線都市の物件成約規模と平均分譲価格が相対的に力強い回復トレンドを示す見込み。同社の開発事業の地域別比率は、明らかに強みになるという。

同社はまた、向こう数年間にわたって粗利益率の上昇が期待できる数少ないデベロッパーの一つ。住宅市況の委縮で地価が下がった14年に開発用地を仕入れたことが、利幅改善を後押しするとみられる。

14年に取得した用地の分譲が始まる前の15年上期には、物件成約額の伸びが減速する見込み。ただ、BOCIは分譲価格の上昇が見込める15年下期以降に分譲対象物件が増えるとのタイミングを前向きに受け止め、採算性や収益率の改善が期待できるとの見方。本格的に分譲が始まる前の投資機会に言及している。なお、同社経営陣は15年の成約目標を前年比5-10%増の420-440億元に設定しているが、BOCIによれば、この目標値はかなり控えめ。実際には前年比13.7%の伸びが見込めるという。

BOCIは15年第1四半期の用地取得を反映させる形で、15年予想NAV(1株当たり純資産価値)を5%引き上げ、新たに12.73HKドルに設定した。さらにNAVに対するディスカウント率を50%から45%に変更した上で、目標株価を上方修正した。現在株価の対NAVディスカウント率は52%で、15年予想PBR(株価純資産価値)は0.8倍と、類似した同業銘柄の同1倍超を下回る水準。BOCIは現在株価のバリュエーションの低さに言及し、株価の先行きに対する強気見通しを据え置いている。