従業員持ち株制度の導入計画を前向きに評価、バリュエーションに好影響

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03968 招商銀行股フン有限公司(チャイナ・マーチャンツ・バンク)  19.72 HKD
(04/13現在)
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招商銀行は数日間にわたって株式取引を停止した後、4月10日に従業員持ち株制度の導入計画を発表した。幹部社員らを対象に1株当たり13.80元で最大4億3480万株(増資後発行済み株式の1.7%)の新株を割り当てる計画であり、60億元の増資となる。新株のロックアップ期間は3年間。続いて2016年-17年にも第2弾、第3弾を実施し、それぞれ20億元ずつの増資を行うという。BOCIはこのタイミングでの持ち株計画の導入を好感するとともに、割当価格が既存株主、新規取得者の双方にとって納得のいく水準に設定されたと評価。さらに、経営幹部が業績だけでなく株価パフォーマンスに目を向けることで、バリュエーションにプラス影響が及ぶ見通しを示した。15年予想PBR(株価純資産倍率)1.3倍をあてはめた上で目標株価を引き上げ、H株の先行きに対して強気見通しを継続している。

従業員持ち株制度・第1弾の参加者は取締役やスーパーバイザー、上級・中級管理職、その他主要スタッフなどで、総勢8500人余り。持ち株数の上限は制度全体で発行済み株式総数の10%、1人当たりでは最大1%とする。また、同制度下で取得した株式は資産運用スキームによって保有され、3年間のロックアップ期間が適用される。

1株13.80元との割当価格は同行A株、H株の直近終値に対してそれぞれ12%、13%のディスカウント水準。15年予想PBRでは0.98倍となる。BOCIは銀行セクターの株価が2012年以来の高水準にあることに触れ、制度導入のタイミングを評価。また、既存株主にとっても、PBRおよそ1倍の割当価格はわずかな希薄化にすぎないと指摘している。BOCIによれば、同制度の実施によるEPS(1株当たり利益)、BVPS(1株当たり純資産)、ROE(株主資本利益率)の希薄化率は、15年にそれぞれ1.5%、0.0%、0.7%。一方、15年のTier1(中核的自己資本)比率は16ベーシスポイント上昇し、9.5%に達する見通しという。

同制度は全従業員の11%に当たる幹部・主要スタッフ8500人をカバーし、増資規模は60億元。1人当たり平均では70万元と、ほぼ参加者1人当たりの年収に相当する。BOCIは対象者の幅広さや割当額の大きさに言及した上で、今後は業績だけでなく、株価パフォーマンスにも経営陣らの注意が向くと予想。これがマーケットバリュー(市場価格)マネジメントを後押しし、結果的に株価バリュエーションにプラス効果が及ぶとみている。この先、第2弾、第3弾が実施されればより多くのスタッフが対象となり、株式インセンティブの効果がさらに高まると予想している。

同行のA株、H株は現在、15年PBR1.11倍、1.10倍で取引されている。BOCIは予想以上の資産の質的悪化を同行の潜在リスク要因として指摘しながらも、持ち株制度導入を評価。H株株価の先行きに対する強気見通しを継続した。