当局発表の天然ガス価格値下げが痛手、ガス輸送料も今後引き下げか

中国国内では4月に天然ガス価格の引き下げが予定されているが、BOCIはその値下げ幅が予想を超えたとし、ペトロチャイナの2015年、16年の予想純利益をそれぞれ6%減額修正した。また、年内に天然ガス価格のさらなる値下げが行われる見通しや、天然ガス輸送料金引き下げの可能性に言及し、利益予想の一段の下方修正もあり得るとしている。ペトロチャイナは中国最大の天然ガスサプライヤーであり、国内シェアは70%超。このため、天然ガス価格や同輸送料の値下げによるダメージを最も受けやすい。BOCIは利益見通しの減額修正に伴って目標株価を引き下げ、同社株価の先行きに対して中立見通しを継続した。

国家発展改革委員会(NDRC)は4月1日付で、非住宅向けのゲート価格(出荷価格と輸送費を基に設定する卸売価格)を調整する方針。「前年比での消費量増加分」については1立方メートル当たり0.44元値下げし、「前年消費量と同等分」に関しては逆に0.04元引き上げる。その結果、非住宅向けゲート価格は加重平均で2.3%値下がりするという。

天然ガス価格の上下方向への調整は、前年比の「増加分」と「同等分」との価格差を解消し、ガス価格体系の一本化を図る目的。BOCIによると、代替エネルギー価格(燃料油、LPGなど)連動型の価格メカニズム構築が、天然ガス価格改革の次のステップになる見通しという。また、代替エネルギー価格が14年下期比で大きく値下がりしていることから、国際原油相場の急反発といった事態が起きない限り、NDRCは年内に一段のガス値下げに踏み切る見込み。BOCIの分析では、天然ガス価格が1%引き下げられるたびに、ペトロチャイナの15年通期、16年通期利益はそれぞれ4.6%、2.6%目減りするという。

NDRCは天然ガスパイプラインの輸送料に関しても価格メカニズムの構築を進めている。BOCIはこれが結果的に輸送料値下げにつながる可能性を指摘し、ペトロチャイナを取り巻く不透明感が高まったとみている。

下方修正後の目標株価はフォワードPERで平均14倍、SOTP(Sum of the Parts)方式に基づく予想NAV(純資産価値)に対して16%のディスカウント水準(5年平均)。一方、BOCIは同社A株に関してもAH価格差(A株株価に対するH株株価のディスカウント率)を基に、目標株価を下方修正。今後のレーティング見直しにつながる潜在要因として、AH価格差の拡大や輸入天然ガス価格の予想以上の下落を挙げている。