14年本決算は予想通り、カジノ市況低迷で15年に業績悪化も

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02282 美高梅中国控股有限公司(エムジーエム・チャイナ)  17.60 HKD
(02/26現在)
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マカオのカジノ運営事業者のうち最も規模の小さいエムジーエム・チャイナについて、BOCIは2月のカジノ市況低迷によるマイナス影響を予想している。2014年本決算はほぼ予想通りだったとしながらも、配当性向が予想以下の水準にとどまったことに言及。15年に対して慎重見通しを示し、カジノ部門の成長見通しを下方修正した。また、15年予想PER で15.4倍、EV/EBITDA倍率で12.5倍に当たる同社の現在株価がほぼ適正水準にあるとの見方。利益見通しの下方修正に伴い、DCF(割引キャッシュフロー)方式に沿って目標株価を引き下げ、株価の先行きに対して中立見通しを維持している。

マカオのカジノ業界は変遷期を迎える中で業界統合が進行しつつあり、最も規模の小さい同社は短期的に、カジノ市況低迷という逆風に直面する見込み。2月には旧正月の時期的なずれという季節要因を受け、カジノ総収入は予想(前年同月比40-50%減)をさらに下回る可能性がある。同社のシェアはカジノ運営6社の中で最も小さい約9%にとどまる見通しという。

14年通期決算は売上高が前年比1%減の255億HKドル、調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が同4.7%増の66億6,000万HKドル、純利益が同7%増と、ほぼ予想通りだった。同期の増益は主に、カジノ需要の低迷を受けた納税額の減少やコスト管理の強化、財務費用の縮小によるもの。同社は1株当たり0.816HKドルの特別配当と0.245HKドルの期末配当を実施する方針を明らかにしており、14年通期の配当性向は市場予想を下回る71%となる。

マカオの新興地区コタイではカジノ各社が新規カジノリゾート開発を進めているが、16年開業予定の複数のプロジェクトにこのところ遅れが出ており、BOCIは同社のコタイプロジェクトが遅れる可能性にも言及している。新規カジノリゾートが開業するには事業者側の準備のほかに、マカオ政府から必要とされる認可をすべて取得する必要がある。

同社の15年のカジノ収入について、BOCIはすでに低迷しているVIP部門だけでなく、一般客部門も前年実績の高さを受けて苦戦すると予想。VIP、一般のカジノ収入がそれぞれ前年比11%、13%減少するとみて、15年通期の売上高、調整後EBITDA、純利益がそれぞれ前年比13%、22%、24%落ち込む見通しを示した。一方、16年に関しては同年下期にコタイ地区の新規カジノがオープンするとの前提の下、緩やかながら利益成長を回復するとみている。