2月9日 
長期の減速見通しも短期的には回復トレンド持続、香港上場銘柄は「勝ち組」に

BOCIは中国不動産市場について、長期的な減速トレンドとともに短期的な市況回復トレンドを予想。「長期」と「2015年」という2つの視点から不動産市況に対する見通しを示した。まず長期的には都市人口や住環境などを分析した上で、予測可能な将来において90億平方米の住宅需要が見込めるとし、この先の市場拡大余地を指摘した。市場の成長ペース自体は減速するとしながらも、香港上場の本土系デベロッパーは業界再編下での勝ち組として、業界平均を上回る成長率を達成するとみている。一方、15年に限定した短期見通しにおいては、現在の市況回復トレンドが続くと予想。その理由として市場心理の改善や流動性緩和、政策的なてこ入れを挙げた。また、15年に関しては、MSCI指数に対する不動産銘柄のアウトパフォームを予想。長期、短期見通しの双方を踏まえ、セクター全体に対して強気見通しを継続している。

不動産市場を長期的に見た場合の成長ペースの減速は、マイホームの普及を受けた構造上のトレンド。建設中の延べ床面積は14年に50億平米超の高水準にあり、この先、不動産開発投資の減速も続く見通しという。ただ、BOCIはその一方で、建設中の住宅物件の一部が実質的に予約分譲済みである点に目を向け、実際の物件在庫は約30億平米にとどまるとの見方。在庫処理周期は2.9年程度になるとの見方を明らかにしている。また、都市人口や住宅環境の改善、さらに「都市化政策」といった中国政府の重要方針を考慮した上で、予測可能な将来に90億平米の住宅需要が見込めると分析。この数字だけで、住宅市場を今後8.5-9年にわたって支えることが可能とみている。

一方、15年に関しては回復トレンドを見込み、前年比での販売規模の増加と前月比での平均販売価格の上昇を予想している。1線都市(主に4大都市)、2線都市、3線都市の販売規模がそれぞれ前年比15%、10%、8%増加するとの見方。平均販売価格に関しては1線、2線都市で前年比5%、1%上昇するとし、3線都市については横ばいを見込んでいる。市況回復トレンドは特に第1-第3四半期に顕著となり、その結果、15年にわたって本土不動産銘柄がMSCIをアウトパフォームすると予想しているが、第4四半期に関しては市況の減速リスクが高まる可能性を指摘。その理由として◇短期需要の消化◇政策的な方向性が変わる可能性◇前年同期実績の高さ――を挙げた。

香港上場の不動産銘柄を見ると、現在株価の対NAV(純資産価値)ディスカウント率は56%と、ヒストリカル平均(45%)以上に下押し幅が大きく、BOCIはこの先25%の上値を見込んでいる。個別では大手の中国海外発展(00688)および華潤置地(01109)を選好。不動産銘柄の上昇局面を両銘柄が主導する見通しを示した。大手以外では、資産回転率の改善や販売動向を理由に遠洋地産(03377)を有望視している。