1月13日
カメラモジュール市況が下降サイクル入りか、15年に価格競争激化へ

中国では、携帯端末カメラモジュール(HCM)サプライヤーが過去5年間にわたって急成長を遂げたが、BOCIはHCM業況がすでにピークに達したとみて、この先下り坂に入る可能性を指摘している。◇業界全体の生産能力の拡大、◇解像度のアップグレードペースの停滞、◇スマホ市場そのものの成長減速――などが理由という。

中国ではHCM生産能力が拡大しているが、中でもスマホタッチパネル・サプライヤー深セン欧菲光科技(002456)が13年以降、積極的にHCM生産設備を増強した。14年半ばには月産1,000万台、同年末には1,800万台に達したとされるが、業界最大手を目指す同社は設備増強を継続する方針という。同社は現在、華為(ファーウェイ)、レノボグループ(00992)、小米(シャオミ)といった国内のトップブランド向けにHCMを供給し、出荷台数は10月に1,400万台。1月の米コンシューマー・エレクトロニクス・ショーでは解像度13MPのOIS(光学式手ぶれ補正機能)搭載型や、16MP、21MP、デュアルカメラHCMなどを発表し、技術レベルの向上を印象づけた。出荷台数では、台湾の光宝科技(Lite-On Technology)や香港上場の舜宇光学科技(02382)の後塵を拝しているが、BOCIは深セン欧菲光科技のシェア拡大が続くとみて、同業銘柄の価格圧力が高まると予想。遠からず業界全体で価格競争が激化する可能性を指摘している。

一方、過去数年続いたHCMの解像度の上昇がここに来て停滞しつつある。これまでは同業銘柄を上回る解像度を実現させたHCMサプライヤーが高利益率やシェア拡大を享受しつつ、各社が異なるセグメントに散らばっていたが、BOCIによれば、14年にはこうした状況が変化。中価格からハイエンド機種まで13MPのHCMが主流となり、スマホのディスプレーサイズ上の制約などから16MPの導入はさほど進まなかったという。解像度の上昇ペースの停滞はこの先、サプライヤーの均質化につながる見込み。各社が同一セグメントに集中することで、真正面から競争が起きる可能性が高まっている。 また、スマホ出荷台数自体もこの先減速するとみられる。米IDCによると、中国のスマホ市場は14年に前年比19%の伸びを示したが、BOCIは15年について同13%への減速を予測している。また、IDCによれば、世界のスマホ市場の伸びは14年の26.3%から、15年には12.2%に減速する見込み。HCM生産能力が拡大する一方でスマホ需要の伸びが鈍化すれば、やはり価格競争の激化を招くことになる。 HCMサプライヤー最大手の舜宇光学科技も競争激化を受けた利益率の低下に直面する見込み。同社の場合、車載用レンズといった非HCM事業が急成長しているが、BOCIによれば、粗利益に占めるHCMの割合は15年も65%に達する見通し。HCMの利益率悪化による同社利益への影響は大きいという。同社株価は現在、15年予想PER12.9倍の水準。BOCIは今後の利益見通しの下方修正リスクを指摘している。