共同会長の1人に汚職容疑で有罪判決、経営上の影響は限定的か

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00016 新鴻基地産発展(サンフンカイ・プロパティーズ)  111.70 HKD
(12/19現在)
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香港高裁はこのほど、サンフンカイ・プロパティーズのトーマス・クオック(郭炳江)共同会長に対し、汚職共謀容疑で有罪判決を下した。一方、その弟であるレイモンド・クオック(郭炳聯)共同会長に対してはすべての罪状について無罪判決を下した。BOCIはこの訴訟が上告裁判所を経て最終的に決着するまでには数年間を要するとしながらも、サンフンカイの経営に及ぼす影響は限定的との見方。この一件に絡む短期的な売り圧力を指摘しながらも、マイナス材料はすでに株価に織り込まれたとみている。また、香港の住宅相場の上昇トレンドに触れた上で、同社の本業の先行きを楽観視し、株価の先行きに対する強気見通しを据え置いている。

サンフンカイの両共同会長は香港政府ナンバー2の政務長官職にあった許仕仁被告に対し、同社への便宜と引き換えに2880万HKドルを贈ったなどの容疑で起訴された。被告となっているのは両会長と許氏に加え、トーマス・チャン同社常務取締役、さらに贈賄行為に係わったとされる香港証券取引所の元幹部フランシス・クワン氏。全員無罪を主張しているものの、有罪判決が確定すれば懲役刑が科される可能性がある。なお、複数の地元メディアの報道によれば、この贈賄を通じてサンフンカイ・プロパティーズが実際に優遇を受けたとの証拠は挙がっていないという。

現在のところ高裁・第一審裁判所で行われている同訴訟でどのような判決が下るにせよ、最高司法機関である上告裁判所まで持ち込まれる可能性が高く、判決の最終的な確定は数年後となる見込み。市場では裁判の長期化が同社株価に及ぼす影響を懸念する声もあるが、BOCIは楽観的だ。この件に絡むネガティブ情報に対し、同社株価が過去2年以上にわたって抵抗力を示してきたことに言及し(両共同会長の逮捕は2012年3月)、事業そのものが堅調であることを指摘している。また、2人の常務取締役を副CEOに任命したことで、2人の共同会長が同時に職を辞すという最悪のシナリオに備えたとし、同社経営チームに大きな打撃が及ぶ事態は回避できるとみている。 香港最大のデベロッパーである同社にとっては、地元住宅相場が過去最高水準を更新し続けていることが追い風。BOCIは利下げペースの鈍化や需要の堅調見通しから(今後10年間に供給される新築住宅48万戸は問題なく吸収できると予想)、短中期的に住宅相場の上昇トレンドが続くとみている。また、同社が売り出した将軍澳「The Wing」IIIA期、IIIB期の成約率は97%、80%と好調。この先も優良物件の開発が期待され、経営陣が約束している“月1カ所ずつ”の分譲ペースも続く見通しという。 BOCIは同社株価が1株当たりNAV(純資産価値)を34%下回る低水準で取引されていると指摘(同業平均は29%)。目標株価をNAV比で23%のディスカウント水準に据え置き、同社株価の先行きに対する強気見通しを継続している。