ロシア関連の為替差損で14年に約50%の減益見通し、国内販売は回復持続へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00175 吉利汽車(ジーリー・オートモービル)  3.12 HKD
(12/17現在)
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吉利汽車が2014年12月通期決算の大幅減益見通しを発表した。ロシア向け輸出事業に絡む未実現為替差損の発生を受け、前年比およそ50%の減益となる見込み。上期純利益の11億元を差し引くと、下期純利益はわずか2億元にとどまる計算となる。ただ、BOCIは大幅減益の主因として「ロシアの通貨ルーブルの第4四半期の急落」を受けた一回性の損失を挙げ、主力の中国国内市場では8月以降、売れ行きが段階的に回復している現状を指摘。15年も販売回復基調が続くとみている。また、予想外の業績悪化見通しを受けた短期的な売り圧力を指摘しながらも、同社株価の先行きに対して強気の見通しを継続している。

ロシア・ルーブルの対米ドル相場、対人民元相場は第4四半期に入ってからこれまでに50%を超えて急落した。同社にとってロシアは最大の輸出市場であり、13年の輸出台数は3万2106台と、輸出全体の27%。BOCIは14年の同社輸出台数を5万7000台と予測し、うち対ロシアについては約1万8000台を見込んでいる。

現在の為替相場をあてはめた場合、14年通期の未実現為替差損は8億-10億元に上るとみられ、実現に伴い一回性損失として計上される見込み。BOCIによれば、為替リスクの管理に失敗した主因はロシア向けの輸出ビジネスモデル。現地企業との合弁ではなく、全額出資子会社を通じたCKD(完全現地組み立て)方式を採用していることが響いたという。ただ、同社は為替リスク軽減に向け、ロシア事業の再編に動き出している。

また、今後は輸出先市場の不安定性やリスクに配慮し、より慎重な輸出戦略を取る見込み。これに伴い、BOCIは15年の予想輸出台数を7万5000台から3万5000台に下方修正した。 一方、国内市場では8月以降、販売台数が回復傾向を示している。「EC7(新帝豪)」をはじめとする新型モデルの売れ行き好調が、旧型モデルの生産縮小によるマイナス影響を一部相殺した。BOCIによれば、15年も国内市場での販売回復トレンドが続く見込み。14年には月次販売台数が前年実績割れで推移したが、15年1月以降はプラス成長に転じる見通しという。 BOCIは今回の大幅減益見通しを受け、14年の予想EPSを0.26元から0.15元に減額修正した(未実現為替差損の全額計上を想定)。また、輸出見通しの引き下げに伴い、15年、16年の予想純利益をそれぞれ8.0%、9.4%下方修正(予想EPSは0.27元、0.31元)。15年予想PER10倍をあてはめる形で目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対する強気見通しを据え置いた。なお、同社の潜在的なリスク要因として、為替リスクや販売動向が予想を下回る可能性、さらに政府補助金の急減などに言及している。