CITCへの出資計画中止も自律成長に期待、A株子会社4社が業績上向き

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02357 中国航空科技工業(アビチャイナ)  5.09 HKD
(12/15現在)
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深セン上場の四川成飛集成科技(CITC:002190)が独占禁止法に抵触するとの理由で主力の軍需資産の再編計画を取り止めたことで、アビチャイナによるCITC株の引き受け計画も中止に追い込まれた。この計画が実現していれば、アビチャイナはCITCの2位株主に浮上する運びだった。今回の中止決定で、アビチャイナの投資収益拡大期待が消えたため、BOCIは2015-16年の利益見通しを6-7%下方修正したが、アビチャイナへのマイナス影響は相対的に軽微にとどまるとの見方。A株上場子会社4社を通じたヘリ製造事業、航空電子工学事業の強化に伴う今後の自律成長を見込み、同社株価の先行きに対する強気見通しを継続した。

CITCの12日の発表によれば、独禁法に抵触するとの国家国防科技工業局(SASTIND)の判断が資産再編計画を取り止めた理由。BOCIはこの計画に沿ったCITC株の引き受けで、アビチャイナの関連投資収益が15年、16年に各6500万-7500万元に上ると予想していた。ただ、計画の中止を受けたアビチャイナへの打撃はCITCに比べて軽微との見方。その理由として、◇CITC再編計画が5月19日に発表されてから当初2カ月間の株価上昇率が相対的に小さかった(CITCの株価上昇率はこの間に300%超)、◇海外投資家がまだ、CITCによる利益貢献をアビチャイナの収益モデルに組み込んでいなかった――の2点を挙げている。

一方、アビチャイナの子会社4社の業績は右肩上がりに推移しており、14年1-9月期には中航光電科技(深セン002179)、哈飛航空工業(上海600038)、江西洪都航空工業(上海600316)がそれぞれ前年同期比37.1%、49.5%、36.2%の増益を達成。上期の同22.1%、16.9%、20.6%からそろって増益ペースが加速した。また、残る1社、中航機載電子(600372)の減益率は上期の前年同期比7.8%から、1-9月期には同4.0%に縮小した。アビチャイナの純利益は14年上期に前年同期比横ばいだったが、BOCIは子会社4社の業績拡大を理由に下期の増益を予想している。 BOCIは14年の予想EPSを0.14元に据え置きながらも、CITCへの出資計画中止を受け、15年、16年の予想EPSを0.16元、0.19元に減額修正した。同社株価は現在、14年予想PER30.4倍、15年予想PER26.7倍で取引されているが、これはA株同業銘柄の平均値(それぞれ101倍、79倍)を大きく下回る水準。また、子会社4社の利益貢献が13年に全体の約75%を占めたことを理由に、市場ベースのバリュエーションに目を向け、4社の時価総額合計に基づくアビチャイナのNAV(純資産価値)が約597億HKドルに上ると指摘。1株当たり換算では10.90HKドルに当たることにも言及している。なお、BOCIは今回、アビチャイナの目標株価を引き下げたが、修正後の数字は15年予想PERで28倍。これはA株同業銘柄の平均PERを6割ほど下回る水準となる。