11月24日 
利下げ効果で15年の市況改善に期待、第2四半期にも販売価格上昇か

中国人民銀行(中央銀行)は11月21日、2年ぶりとなる利下げを発表した。BOCIは不動産市場にプラスと受け止めながらも、住宅物件の販促効果に対してやや慎重。その理由として、ローン金利より、不動産ローンに対する銀行側の貸し渋り姿勢が物件の売れ行きに影響している現状を指摘した。住宅ローンから得られる市中銀行の利ざや(純金利マージン)は薄く、BOCIは銀行側が利下げを受け、積極姿勢に転じるかどうか疑問視している。ただ、そうは言っても、利下げは住宅購入意欲の改善につながる可能性が高く、ここに来て販売状況が改善している不動産市場にとって、一定の支援材料となる見込み。BOCIは不動産市況が2015年に前年比で改善すると予想。セクター全体の株価について25%程度の上値余地を見込んでいる。

ここ数カ月間に行われた住宅ローン規制の緩和やその他の締め付け緩和を背景に、中国の不動産販売面積の前年比変動率はこのところ安定している。BOCIは利下げを機に消費者の様子見姿勢に変化が生じると予想。結果的に物件販売の一定の底上げに寄与するとみている。また、今年累積してきた需要の発現を見込み、15年の不動産市況が14年比で上向くと予想。12月以降に前年同月実績が低下することも、今後の販売増に寄与する見通しを示した。BOCIは販売面積が15年第1四半期にプラス成長に転じるとの見方。平均販売価格(ASP)については、早ければ第2四半期にも前月比で上向きに転じるとみている。

供給サイドに目を向けると、14年の新規着工面積が過去5年で最も低い水準にとどまったことで、15年の新規供給量は前年を下回る見込み。これが購買意欲の改善やASPの回復に寄与する可能性が高い。短期的にはASPの前月比での下落が続くとみられるが、BOCIは「前月比のASP動向は1-2カ月のタイムラグを置いて、前年同月比の販売面積変動率と密接に連動する」と指摘。需要・供給の両面から、15年第2四半期のASP回復を予測している。

BOCIによれば、本土不動産セクターは現在、1株当たりNAV(純資産価値)を59.7%下回る水準で取引されている。中国不動産市場の過去10年間にわたる急成長期はすでにほぼ終わったものの、市況回復が期待される15年には、NAVに対するディスカウント率が50%程度に縮小すると予想。この想定に基づき、セクター全体で25%程度の上値が期待できるとしている。

個別では業界最大手クラスの銘柄を選好。うち中国海外発展(00688)について、事業エリアの多様性や財務指標の健全性などを前向きに評価した。他に売れ行きが好調で、持続可能なビジネス戦略を実行している一部銘柄を有力視。この点では融創中国(01918)に対して強気見通しを示している。