11月6日
供給ひっ迫で住宅相場の上昇持続を予想、15年後半に市況悪化リスクも

BOCIは香港不動産開発セクターに対して中立見通しを示し、同セクターのカバレッジを開始した。2015年後半の市況後退リスクを指摘しながらも、14年、15年の住宅相場についてはそれぞれ5%の上昇を予想。その理由として低金利環境や需要の堅調、供給ひっ迫感の長期化、コスト高などを指摘した。不動産銘柄の中では現在株価の値ごろ感や厳しい事業環境に対する抵抗力を理由に、不動産賃貸銘柄よりデベロッパー銘柄を選好。個別では新鴻基地産発展(00016)をトップピックとしている。

香港の住宅市況は15年に複数のマイナス材料に直面する見込み。具体的には、量的緩和QE3の終了に伴い長く予想されてきた米利上げが現実のものとなる見通しや、香港経済および中国経済の不透明感、住宅相場の値ごろ感の後退など。ただ、BOCIは住宅価格が大きく調整する可能性は低いとみている。

香港の住宅市況に対して、BOCIは慎重ながらも楽観的。その理由として、14-16年の物件完工数が予想を下回る見通しや、土地供給の遅れ、人件費上昇に伴う建設コストの高騰、エンドユーザー需要の底堅さ、累積需要やアップグレード需要の回復、さらに域外(主に中国本土)の買い手による需要増見通しなどを挙げた。

また、BOCIは香港デベロッパー銘柄の株価がほぼ全面的に市況悪化リスクを織り込んだとの見方。14年中は販売堅調が続く見通しを示すとともに、向こう数カ月のポジティブな統計数字が支援材料となる可能性を指摘している。

一方、デベロッパー銘柄の潜在的なリスク要因は、予想以上に早い米国の金利正常化が香港の不動産ローン金利の上昇につながる可能性や、香港政府による不動産引き締め強化の可能性、センチメントが悪化する可能性、さらに本土不動産市況の悪化が香港に波及する可能性など。BOCIは14年後半の新築住宅市況の回復やセンチメントの改善といったプラス材料と、利上げの可能性や政策リスクを反映させる形で、セクター全体に対して中立見通しを示した。

個別では香港住宅市場でトップシェアを握る新鴻基地産発展をトップピック銘柄とし、価格決定力につながるブランド力の高さや投資不動産部門が実施した賃料値上げ、保有用地の高利益率、共同会長に関する法的問題が年末までに明確になる見通しなどをプラス評価の理由としている。

また、長江実業(00001)の株価の先行きに対しても強気見通しを示し、新築物件販売の好調や小売・港湾・通信系コングロマリットのハチソン・ワンポア(00013)を傘下に抱えるという事業の多様性を前向きに評価した。残る主要銘柄の恒基兆業地産(00012)に関しては中立見通しを付与している。