9月3日
4G対応の低価格スマホが相次ぎ登場、端末補助金負担の軽減で利幅拡大見通し
携帯電話4Gサービスの本格スタートに向けた通信キャリアの準備が整う中、第三者チャネルから低価格4Gスマートフォンが大量に流入し始めている。こうした状況は通信キャリアのサービス収入が伸びるだけでなく、コスト軽減にも寄与する見込み。今後は端末補助金の必要性が後退し、増収とEBITDAマージンの安定化が同時に実現する見通しとなった。また、通信セクターにとっては4G国際規格FDD-LTEの事業免許発給や増値税(VAT)改革といった不透明要因が明確化したこともプラス。BOCIはセクター全体に強気見通しを示し、経営環境の明るさを反映させる形でキャリア3社の目標株価を引き上げ、そろって強気見通しを示した。3社を比較した場合、中国電信(チャイナ・テレコム:00728)を最も優先的な選択肢としており、以下、中国移動(チャイナ・モバイル:00941)、中国聯合網絡通信(香港)股フン有限公司(チャイナ・ユニコム(ホンコン))の順。4Gスマホの技術レベルの向上を理由に、チャイナ・テレコム、チャイナ・モバイルの4G加入者数が8月から年末にかけて力強い伸びを示すとみている。
JD.comなどのネット通販サイトを見る限り、中国では200米ドル未満の低価格4Gスマホ(999元レベル)がすでに主流となっている。BOCIによると、こうした状況下で端末補助金の必要性が薄れ、通信キャリアは今後、シンプルにデータ・音声通信サービスを提供する従来型ビジネスに回帰する見通しという。ちなみにキャリア3社の販売・マーケティング費用の対サービス収入比は14年に20%を超える見込み。3社のEBITDAマージンは3Gサービスが始まる前の2008年をピークに低下しているが、これは販売・マーケティング費の増大が主因とされている。
キャリア3社のうち、チャイナ・テレコムおよびユニコムは4G サービスにおいてFDD-LTE/TD-LTEのハイブリッドネットワークを展開する計画であり、試験運営地点を現在の各16都市から各40都市に増やす計画がすでに当局認可を得た。一方のチャイナ・モバイルはTD-LTEネットワークのみを運営しており、今年半ばにはサービスエリアを300都市に拡大した。BOCIは下期も低価格スマホの投入が相次ぐとみて、モバイルデータ利用がキャリア各社の新たな成長エンジンとなる見通しを明らかにしている。
テレコムとユニコムは9月28日付でPHSサービスを全面的に終了する予定。BOCIは遅くても年末までに、両社にFDD-LTEの正規事業免許が交付されるとみている(現在は試験運用段階)。これに伴い、すべての政策的不透明感が払拭される見通しという。 一方、キャリア3社は基地局塔などの通信インフラ施設を建設・運営する合弁会社「中国通信設施服務有限公司」(CCFSC)を設立し、15年にも自社資産の注入を行う運びで、資産再評価につながる見込み。テレコム、ユニコムの株価は8月に急伸したものの、今も固定資産価値に対して66%、74%のディスカウント水準にある(9月3日現在)。
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